「食べる・食べられる」の関係 その授業シナリオをつくりました。
どのような授業か?
簡単に言うと、
映像を見せながら子ども達に投げかけ、学習内容を身に付けさせる、というものです。
元ととなるこの授業を行った当時(2020年)は、
コロナ感染拡大を防ぐ措置として授業ガイドラインが示され、
実験はしない、言語活動は5分以内などの制約がありました。
学習指導要領の求めている学びとは距離がある授業だったかもしれません。
そのような中での取り組みであることを予めご了承ください。
授業観についてはこちら → Home – Ri-せんのお役立ち情報 (ri-sen.com)
1.授業は、発問から始める
2.投げかけながら進める → Jump there
3.図式を使う
4.学習用語をおさえる → Jump there
5.調べる活動を入れる
6.顕微鏡を使う → Jump there
1.発問から始める
授業は発問から始まります。
単元名は授業が始まる前に、板書しておきます。

「生物のくらしと環境」について勉強していきましょう。
単元名になっている「生物」とは何ですか?
列指名していきます。

生物とは、いきもののことです。 動物や植物は「生物」で、命があります。
「いいですねぇ。」と返して、全体に問い返します。
T:では、生きていないものは、どんなものがありますか?
C1:水とか石とか・・・。
T:そうです。
生物の反対の言葉は、生きていないもので「無生物」です。
では、単元名の「環境」とは何ですか? 目がいい人は、気が付いていますよね。
実は、教科書に用語の説明文が載っているのです。
「環境」とは、生物をとりまいているもののこと。
生物に影響を及ぼしているもののこと。
具体的なものとして空気とか、水とか、食べ物のこととおさえます。
2.投げかけながら進める

動物も、植物も「生物」です。ところで・・・
植物にできて、動物にできないこと。 それは、何でしょう?

植物は、自分で養分をつくって成長しますが、動物は自分で養分をつくれないから、
他の生物を食べないと生きていかれません。

すばらしい!
ということは、生物どうしというのは、どういう関係でしょうか?
「食べる」「食べられる」の関係 と、すぐに言える子どもは少数です。
そこで、
カレーライスとその材料の関係図を映し、投げかけます。
T:食べ物の元をたどると何だと分かりますか?
C2:植物です。

板書して四角に入る言葉は何か考えさせます。

すぐに「食べる、です。」と返ってきます。
そこで、この図式を説明させます。
T:食べる・食べられるの関係を表したものです。説明してごらん。

植物は、ウシに食べられ、 ウシは人に食べられます。 or
(ウシは植物を食べ、人はウシを食べる、という関係です。)
上記のように話ができる子どもは、一部です。
説明の仕方が分かったところで、全員に言わせます。
ペアを組ませ、交代で言わせます。
3.図式を使う
次に、同じような図式を黒板に書きます。


Bは、何でしょうか? Aは、何しょうか?
Bから言わせます。
子ども達は、大きな魚、鳥、カエルなどを挙げます。
Aは、メダカよりも小さな生物、プランクトンと子ども達は答えます。
ここで豆知識を披露します。
※授業では、
「へぇ、そうなんだ!」というような情報を入れるようにしています。
プランクトンとは、「漂うもの」という英語であること。
空気中も漂っていて「空気中プランクトン」とも言われていること。
気生プランクトン – Wikipedia
プランクトンが出ましたので、その画像を映します。
ミジンコ、ケンミジンコ、ワムシ、ゾウリムシなどの顕微鏡写真です。
※プロジェクターの準備をしておきます。
そして、問います。
T:知っている名前、いくつあるかな。
4.学習用語をおさえる
T:野山ではどうでしょうか?
下図を提示し、どういう関係か言わせます。

「食べる」「食べられる」の関係です。
T:「食物連鎖」といいます。
「食物連鎖」とは、生物どうしの「食べる・食べられるの関係」のことです。
「連鎖」とは、鎖のようにつながることです。
学習用語ですから、テストに出ますよ。
学習用語の定着のさせ方は様々ありますが、ここではゲームのようにしました。
説明をした直後、「食物連鎖」って、何? と投げかけます。
子ども達は、先生に向かって口々に言い始めますが、言えない子どももいるでしょう。
こちらの言ったとおりに復唱させます。
次に、
ペアを組ませて、じゃんけん。
勝った方が「食物連鎖って何ですか?」と質問し、負けた方が答えるように指示します。
言えればOK。ほめてあげましょう。
言い淀んでいたら手伝ってあげる、という風にします。
5.調べる活動を入れる
場面を海へと移します。
T:今度は、海の中の食物連鎖を見てみよう。


イワシが食べている、小さな生物ってどんなものでしょうか?
それは、どうすれば、分かりますか?
イワシのおなかの中を調べようというわけです。
煮干しがイワシであることを伝え、その胃の中を調べさせます。
※「煮干し」は家庭科の調理実習(みそ汁づくり)で扱っています。
このように確かめるための活動を授業に組み込むことが大切だと考えます。
煮干しは学校で用意します。
使っていない家庭もあり、各自に持ってこさせるのはキビシイです。
煮干しは数時間前から湯に漬けておきます。
これは、授業者の仕事です。
イワシが食べものを見つける活動は一人ひとりにさせます。
ペトリ皿(シャーレ)は人数分用意しておきます。

6.顕微鏡を使う
操作活動を入れると授業はより楽しくなります。
その際の 指導のポイント(子ども達のつまづき)を記しておきます。
まず、顕微鏡の操作です。
前学年で指導を受けているはずですが、正しくできる子どもは2割もいません。
習熟するまでしていないわけです。(やむを得ないのかもしれません。)
まず、「何も見えない」と訴えてきます。
どれどれと覗いてみると、光が取り込めていません。
顕微鏡を置く位置、反射鏡を動かすこと等を助言します。
(光源装置を使わせる方がいいかもしれません。)
接眼レンズがついていない状態で覗き込み、「見えない」
という子どももいました。

目的のものを視界に入れられない、という姿も見られます。
プレパラートを動かして探すよう声をかけます。
そのほか、
・ピントを合わせていない。
焦点が合っていないのに「見えた」とうれしそうに言ってきます。
・顕微鏡を体の正面に据えて観察をしていない。
・顕微鏡の箱を机の上に乗せたまま、観察を始める。
(事前に指導しますが、していない。)
・プレパラートが作れない。
これらの実態は、十分に予想されていたことでした。
教科書を使っておさらいしますが、
その場になっていざ操作となると、できないのです。
理科では、学びえた知識の定着ももちろんですが、
こうした実験・観察の経験や技能の習得も大切なのだと思います。
コロナ禍の中にあっても、です。