理科授業でする小話。
一つ目は「観察すること」に関して。
「観察」は理科の授業ではとても大切な学習活動の一つですが、
「〇〇を観察しましょう。」と先生が言って、子ども達がねらいどおりに観察したらいいのですが、
多くの場合、鍛えられていなければたぶんダメです。
「観察」とは どうすることなのか、その都度教える必要があります。
子ども達の多くは、漫然と現象を見ています。
授業者は、観察の方法、使う道具の扱い方、記録の仕方、安全面等の話をしないといけません。
この小話は、授業に「観察」があるとき、「まくら」として話します。
新学期が始まって間もない頃がいいでしょう。
ネタ元は、有田先生が講演会でされた話です。
書き起こしましたので、ここに紹介します。
ところで、
有田先生(故人)をご存じない方がいらっしゃると思います。
筑波大学付属小で社会科の授業を担当され、私も公開授業を幾度か参観。
NHKの教育番組制作にも携わっていらっしゃいました。
著書多数。
とりわけ「教育新書 〇年生に育てたい学習技能(明治図書)」からは多くの啓発を受けました。
尚、小話を収録した著作も出版されているようです。
理科授業でする小話のもう一つは、6年生の「大地のつくり」に関するものです。
こちらは、授業の隙間時間にされるといいかな、と思います。
「観察」に関する小話
ここは、大学病院。
指導にあたる先生が数人の医学生達に話をしています。

医者にとってよく見る、観察するということはとても大切なことなんだ。
これを見なさい。
うちの患者さんのおしっこ、尿だ。
昔は、このようにして診断したもんだ。
今からやって見せるから、お前たちもやってみろ。
そう言って先生は、小さなビーカーを学生一人一人に渡しました。
黄色い液体が半分ほど入っています。
今朝、採った患者さんの尿だ。
私がやってみせるから、よく見ておれよ。
まず、人差し指でゆっくりとかき回す。
しずくを払って、指を口にもっていき、味をみる・・・さ、やってみろ。

「えー、舐めるんですか?」
「先生、ほんとにやるんですか?」
学生たち、少し嫌がってましたが観念したようです。
人差し指を尿の中に突っ込むと、その指を口に入れました。

先生、苦いです。
こんなことをして、どんな診断ができるんですか?
ぺっ、ぺっ、と吐き出しているところへ
お前たちは本当に舐めたのか?
よくそんなことができるな、私にはできん。
だって、先生は、指を舐めましたよ。
お前たち、よく見ていなかっただろう。
わしは人差し指でかき回し、しずくを払ったが、
口に入れたのは隣の中指だ。
よく見ていないから苦い思いをする、そういうわけだ。はははは。
観察とは
理科授業でする小話ですから、それなりに話をまとめて終わります。

「観察」とは注意深く見ること。辞書にそう出ています。
「察」とは正しく想像し理解する、とあります。
みなさんも
自分の目でしっかりと現象をとらえ、考えていくようにしましょう。