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激務、挟務、今日務、叫務です! 教務のお仕事 

振り返れば、働きすぎでした。

校長さん曰く、
教務は学校のエンジン
教務が学校を回していくのだ、と。

その言葉を胸に、精一杯務めました。
子ども達の力を伸ばして行こう、地域やPTAとの連携もはかって行こうと奮闘しました。

激務だったと言っていいと思います。
身体を壊したくらいですから。

学校での働き方改革が進められている現在は、どうでしょうか。
教務さんのお仕事量は、相変わらずでしょうか。

この記事は、しばらく前のことを元にして書いていますが、
「教員の働き方」について少しでも役に立つようなことがあれば、幸いに思います。

内容

  はじめに(教務になる前の話)

1.校長さん曰く、教務は「挟務です。」 
   
2.教務の初日 夜の9時過ぎまで仕事して「驚務
    
3.「恐夢!」 深夜に及んだ会議は現実と思えず、恐い夢だったのでは  

4.明日のことは明日、まず今日すべきことをしよう! だから「今日務
  (1)教務は授業が1丁目1番地
  (2)テストはその日のうちに採点
  (3)初任者指導も教務の役目

5.叫びたくなるほどだから、「叫務」 (仕事多すぎやしませんか)
  (1)担任の出張・年休
  (2)年休・病休
  (3)プール監視

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はじめに  

3月の終わりごろだ。校長室に呼ばれた。
転出の希望を出していたから、その話だ。

次の学校では、何年生を教えるのだろうか?
分かれば、その準備を始めておきたい。

ところが、

あなたの赴任先は、〇〇小学校です。
担任はしません、級外職員となります。・・・教務です。      

え、級外で教務

学級を持たないのか。
なんだか、拍子抜けした気分。

それにしても、
その学校のことを知らないでいきなり教務など勤まるものなのだろうか?
そもそも教務とは一体どういう仕事をするのだろうか。

自分の知っている教務は・・・

職員室にいて、
  ・学校職員と向かい合うようにして座っている3人の中の一人だ。
   校長、教頭に次いで学校運営にあたっていて、年配。

  ・学級は受け持ってはおらず、授業は習字の時間くらいで少ないのだが、
   いつも遅くまで残っていて、自席で黙々と仕事をしている。

  ・始業式や、卒業式などの学校行事では、進行役だ。

働きすぎ

職員会議で、月行事を読み上げてる姿も思い出されてくる。
一読しておいてください、と言えば会議の時間短縮になるだろうに、と毎回思っていた。

数日後にその学校の校長と面接。
引継ぎもあるらしい。

詳しく分かるだろう。

1.校長さん曰く、教務は「挟務です。」 

その日のM島校長は、忙しそうだった。

お茶を出されることもなく、(そのような接待を望んでいたわけではないが)
早々に顔合わせが終了してしまいそうになって、肝心の教務の仕事についてお尋ねしてみた。

するとM島校長、チョークを手に取ると
校長室の小さな行事黒板の隅にこう書いた。   挟 務

教務は、挟(はさ)まれながらする仕事です。
管理職と先生方の間に入って調整する仕事です。                               

調整などということはやったことがない。

そもそも、
調整をしなくてはいけない場面とは、考え方の相違・対立がある場合ではないのか。

双方に折り合いをつけさせるということだ。
できるのか自分。

やっかいな役回りが回ってきたものだが、
振り返れば、〇〇小に赴任して以来7年間、
管理職と先生方に挟まれた思いをしたことは1度もなかった。

「狭務」になったことはなかった。
たまたまかもしれない。

2.教務の初日 夜の9時過ぎまで仕事して「驚務」 

その面接の後、引継ぎがあった。
これが長いこと長いこと、2時間もやっていた。

入れ替わりに転出される教務さんは、親切心からか実に丁寧に説明をしてくれる。
だが、半分も頭に入って行かない。

5月にPTAの常置委員会があります

なんて言われても何のことが分かる訳がない。
自分の仕事との関係性が分からない。

取りあえずは、4月1日の職員会議だ。
ほとんどが教務が提案する案件。
この日を乗り切れればいい。

資料は全部用意しておく、という。
そりゃそーだ。他所(よそ)の学校の人間がすることなどない。

4月1日。
晴れやかな気持ちで着任。
教務となったその第一日目のことだ。

職員会議は、質問も意見も何もなくするすると進行。
お雛様のように座っていればよかった。

愕然としたのは、退勤時刻になりつつある5時ちょっと前だ。
じきに初日が終わるな、と思っていると、

  はい、お願いしまーす。

教頭さんが未決済の文書を机に置いたのだ。

文書箱3つに入ったその高さは30cmは超えている。
何通あるのだろうか。

校長、教頭の判が押してある。
目を通したら押印し、担当職員へ渡してください、という。

働きすぎ

「〇〇会議の開催について」という文書は市教委からのものだ。
いつまでも手元に置いておくわけにはいかない。
今日中に処理しなくてはいけない。

働きすぎ

一つひとつに目を通し、
誰が、いつ、どこへ出張するのか、
教務手帳前教務さんに譲り受けたもの)にメモをしていく。

その作業をしつつ思う。

  どうして、教頭さんはこんな退勤時になってから渡してくるのだろうか。

もう少し、
早目に持ってきてくれたらいいのに、と思うのだがこれは当然の話だ。

4月1日は学校にとって年度の始まり。
人事が確定し着任がある。

校内の分掌もこの日の職員会議で決まる。
それ以前は担当が決まっていないから文書の渡しようがないのだ。
新年度のスタートに合わせるから
発送文書も多いわけだ。

教頭さんは
県や市から届いた文書を開封し、分掌にもとづいて担当者名を書き込む。
校長へ持って行き決済印をもらって教務に回してこの時刻、というわけだ。

ところで、
学校に届けられる物というのは、沢山ある。
県や市からの行政文書だけではない。

・児童への配布物の「送り状」
・市内の各学校からの「学校だより」・「PTA広報祇」
・教育関連のイベントやコンクールのお知らせ
・地域の団体が発行する「活動だより」
・授業に使えるかもしれない冊子の見本、献本
・教材教具の宣伝広告

・横断旗、それを入れる缶(すごい量です)
・新1年生に配布する「交通安全ワッペン」「ランドセルカバー」

中でも重要なのが、転出入に関する書類だ。
これは学籍に関わり、一日付けの在籍数は学校基本調査になっていく。

判子を押す以上、
「見ました」ということになるから全部見ていく。

すべて押印して、担当職員の机上に置いていくと午後9時を回っていた。

働きすぎ

教務とは
こういうこともする仕事だったのだ。
驚きながら務めた初日だった。

だから、
この日の感想を「キョウム」という音に合わせて 驚務 という漢字で表してみた。

働きすぎ

職員室から見える校庭は、
すっかり夜になっていて、真っ暗。

子ども達はもう床に就いている時刻だ。

校長や教頭の両先生は、
新米の教務に付き合っていたわけではなく、依然帰宅する気配もなく、
何か仕事をされていた。
お先に失礼した。

ちなみに、
未決済の文書を一つひとつバカ丁寧に見ていくことはしなくなった。
そんなことも初めは分からなかった。

3.恐夢! 深夜に及んだ会議は現実? 恐い夢だったのでは       

教員の働き方改革

勤務校は、
数年後に開校100周年を迎えることになっていた。
その話し合いが夜の7時からある、という。

集まってくるのは20人くらい。
PTA会長と声がかけられた歴代の会長さん方で
学校側からは校長、教頭。それに教務も出るのだという。

日も暮れて、6時ごろだ。

教頭さんに声をかけられ一緒に会議室の机をこの字型にしてセッティング。
湯茶の用意をして会議室へ運んでおく。

先生方は、来客があるらしいそのばたばたしている様を目にしても、
どこ吹く風と帰宅の途についていく。

7時を回って会議が始まる。

記念式典といくつかの記念事業を行うことで方向性が確認される。
次回は一月後。
具体的なアイデアを持ち寄ることにして10時過ぎに散会となった。

さあ、帰れるぞと思いきや、さにあらず。

校内の戸締りの確認を頼まれる。
校内をぐるりと回ってくると11時になっていた。
児童数900名で4階建ての本校は、1巡するのに30分はかかるのだ。

残って話をしていたP会長さんもお帰りになって、
職員も帰宅と相成った。
午前0時になろうとしている。

終電はあるのか?
夕飯はどうしよう。
6時間後には、またここにいるなぁ、とか思いつつ駅へ急ぐ。

教員の働き方改革

深夜に及んだこの日の教務の仕事。

現実に起きたことではなく、恐ろしい夢だったと思うようにしよう。
教務の見た 恐夢 としておこう。

二度と見たくないと思っていたその夢。
その後、何度も見ることになって、まぎれもない現実として受け入れてしまったのであった。

4.明日のことは明日、まず今日すべきことをしよう! だから「今日務

(1)教務は授業が1丁目1番地

教務の仕事は大まかに言って3つあるが、その1つは授業だ。

校長、教頭との一番の違いといってもいい。
教務は授業時間を持っている。

自分の場合は、
週に15コマの算数(3年生)を持つことになっていた。

その算数授業は週に5回ある。
それを3クラスで行うので週15時間だ。
聞いた話によると、市内の教務では2番目に授業数が多いらしい。
少ない人は、週8コマだという。
なんなんだ、その待遇は。

教員の働き方改革

校長さんからはT.T.(Team Teaching)の
T1をしてほしい、といわれていた。

T.T.の仕方は、いくつか進め方があるのだが、
取りあえず教室に先生が二人いる形でスタートした。

担任はT2。
その場その場で対応したいという。

要するに、担任の負担の軽減策なわけだ。
校長さんの意図はよく分かる。
学年の意向も理解できる。

今後検討していくというT.T.は、1年間そのままだった。

担任と交代で授業をすると不都合が生じる、という。
「比較」や「児童の戸惑い」は当然のように生じるだろう。

そこを避けるような取り組みはできたはずだが、
ずるずると先送り
とにかく学年の先生達は忙しい
それで、学年末になってしまった。

言うまでもないが、T1を務めるのは簡単なことではない。

担任からは毎時間、授業行為の巧拙を見られているし、
子ども達が自分の授業を楽しんでくれていると思えば思うほど、手が抜けないから
授業の準備に時間をかけることになる。

夜の8時ごろから教材研究と授業の準備を始めていた。
帰宅はそれから2時間後ぐらいだった。

こんな勤め方が続いて、ある日、身体に異常が起こる。
そのことは、次の記事にする。

(2)テストはその日のうちに採点する

単元が終わると市販のテストがある。

担任達は、そのテストを算数以外の教科の時間を使って子ども達にさせ、
採点をお願いします、と言って持って来る。

担任にとってはテストをさせている時間も、貴重な仕事時間になっている。
だからか、T1の授業時間にはテストをしない。

さて、採点の依頼だが、これは断れない。

テストは、自分の行った授業の評価でもある。
だから、
〇付けは授業をした者がするべき仕事と私は考える。

採点しません、とは言えない。

このテストの採点というヤツは、
子どもが40人くらいいると1時間はゆうにかかる。

〇を付けるだけではなく、励ましのコメントを書いてあげたりもする。
点数を書き込む作業もあるし、PCに入力もする。

教員の働き方改革

そんな日も、夜の10時を軽く回ってしまう。 

(3)初任者指導も教務の役目

初任者が2人いる。
教務は、その初任者研修の担当でもある。

この節の初任研は、ずいぶんと緩められているが、
当時はかなり過酷な研修が課されていて、年間にすると90時間の授業研究があった。
(年度半ばで辞退者が出て、その数が問題に上がったと聞く。さもありなんだ。)

初任者は毎週一日授業を見てもらう。
指導案は簡単なものでいいということだったが、きつかったはずだ。

拠点校指導員という方がいて、直接はその先生が指導するのだが、
まるっきりお任せというわけにもいかないから、
手が空けば、ちょくちょく見に行っていた。

その初任者が躓いた。

毎週金曜日、
午後の5時半から初任者支援会議というのがもたれるようになった。
校長の発案だ。

初任者の困りごとを聞いて、関係者でサポートをしていこうという。
趣旨は結構だが、勤務時間もあったものではない。

早く解放してやればいいのに、7時を回っても終わらない。
この会議そのものが返って初任者を苦しめているようだ。

教員の働き方改革

一案として
教務に副担任が任命され、授業を何コマか受け持つことになった。
自分の授業時間は週17コマになった。
プラスになった分の仕事量のマイナスはなく、単純に上乗せされた。

その初任者はやがて療養休暇に入ってしまい、一月後、復帰してくれた。
その間教務の忙しさはマックスだった。

とりあえず、その日出来ることをするしかない。
今日だけなんとか務めればいいとしよう、ということでその頃は、 今日務 だった。

5.叫びたくなるほどだから、「叫務

教務は補填に入らなくてはならない。
担任が出張で不在となれば、クラスはそのままにしておけない。
教務がその穴を埋めることになる。

教務が学校を回す、とはまさにこのことだ。


(1)担任の出張 で補填に入らなければならない 

大抵は課題が出されている。
だから、自習の監督をしていればいいのだが、抱えている自分の仕事はほぼできない。

静かに自習していないのだ。
監督をする者は、事故のないよう落着いてその時間を過ごさせねばいけない。

聞き分けのいい高学年ならさほど手はかからない。自浄力も見せてくれる。
注意し合うのである。
が、そんな「出来た」学級は少ない。
稀(まれ)と言ってもいい。

中低学年の子ども達にとっては、
自習の45分間を黙って過ごすというのは無理というものだ。
彼等は、生理的に沈黙に耐えられないように出来ている。
 
静かにしなさい

などと声を荒げて叱りたくない。
その後のそのクラスとの関係を考えれば、友好関係を構築しておくのがベストだ。

働きすぎ

ここは長年の経験を生かしての腕の見せ所。
手を変え品を変え対応する。
オモシロい話をして聞かせたり、授業をしたりしてしまうこともある。

ずいぶんと補填の数をこなしたお陰で、
自習の監督に関しては自慢できるくらいのノウハウを身につけることができた。
残念なことだが、学校から1歩出れば何の役にも立ちはしない。

このような出張は、ほぼ毎日のようにあるのでいろんなクラスに行くことになる。

クラスの様子が分かっていい

なんてことを教頭さんが言うが、それは管理職の立場からのことで、
教務としては全くそうは思わない。
知らないよりはましだが。

それより、時間をくれ
職員室にいて、
かかえている仕事を一つでもやっておきたい。


(2)年休・病休 となれば覚悟をして補填に入らねばならない 

まず、補填計画を立てる。
学年の先生と相談をして、一日分の時間割をつくるのである。

年休をとる担任が、電話で指示をしてくることもある。
〇〇をさせておいてください、という風に。
家で身体を休めていても、教室のことが気になるのである。

補填は、数名の職員に入ってもらうこともあるが、主となるのは教務だ。
給食掃除の時間も子ども達と一緒に過ごす一日となる。

つまり、その日に予定していた仕事は完全に吹っ飛ぶ。
その日になって突然そうなる。
だから、
朝電話が鳴ると身構えてしまう。

療休、病休はもっと大変になる。

麻疹(はしか)になりました、

などと連絡がくれば、担任は2週間近くは出てこられない。

その間、担任をするよう校長さんから指示が入る。
各教科の授業を進めることになるのだ。

このような役回りをする教務と言う仕事は、
やなり経験を積んでないと務まらない、
とヘンに納得するのだが、

補填は教務本来の仕事なのだろうか、
と思っている自分がいる。

学校を回すために自由に動ける教員が必要であるならば、
そういう人材を確保採用すればいいのだ。例えば、退職教員とか。

教員の働き方改革

話を戻す。
これらの補填にとられる時間は結構多い。

教務としての仕事をする時間をくれー、と心の中で叫びながら務めるそんな状況は、
まさしく「叫務」という漢字になる。

(3)プール監視 は補填ではないが、これも時間をとられる

働きすぎ

6月の終わりから水泳指導が始まる。

少々肌寒くても、
実施となれば子ども達は大喜びだ。
わーい。
遠くから歓声が上がるのが職員室に届くと同時に
教務の仕事にプール監視が発生する。

2コマ分の時間が吹っ飛ぶ。
自分の仕事ができなくなる。

ホントにこの天気で入るの?

と学年の判断に疑問を呈しながら着替えに行く。
監視役も水着にならないといけない。

プールの監視は結構つらい。

水の事故は命に直結するから、責任重大。
ぎらぎらとした水面をずっと見続けなければならない。

すぐに眼がおかしくなってくる。サングラスは思ったほどには効果がない。
蒸し暑い中、じっとしていれば眠気にも襲われる。
そういうときは、
深呼吸したり、膝をつねったりする。

水泳の授業の仕方も実は見ている。

あまり準備されていないような指導が多い。
ちょっとやると「自由時間」にしてしまう。
阿るようなその軟弱さは何だ。

教育課程を司る教務担当としては
この授業レベルをどうにかしないといけない、と思ったりもする。

先生たちの水泳指導がそのような有様なのは無理もない。

採用試験で25m泳ぐという課題をクリアして先生になっているのだろうけど、
指導法を大学で習っていないように思える。
自ら勉強もしていない。
  
  泳ぎ方を指導できる教員は、まずいない

という実態が目の前で浮き彫りになっている。
ここから、どうにかしないといけない。

ちなみに、自分は泳法の指導について数日間に渡る研修を受けているし、
泳力をつけさせるべく、学んでもいる。

教員の働き方改革
教員の働き方改革

この水泳授業に関しては、しばらく前から取り組み方が変わってきている。

学校のプールは使わなくなっているのだ。
近くの民間施設や公営プールで行うようになっている。

そこにはインストラクターがいて、監視もついている。
担任は、その補助的な立場で指導をしている(らしい)。

この変化は、担任も教務にとっても喜ばしいことだ。

プール掃除をしなくていいし、水質管理を日々しなくてもよくなった。
季節を問わず、指導できる。
泳げるようになる。

要は、教育にお金をかけるということだ。

補填の話からプール監視まで
教務が如何に学校運営に関わっているか具体的なところを書いてみた。

それも役目と言えば、否定はできないが、抱えている仕事はわんさかあって、
それをする時間をくれーと個々の中では叫んでいる。

叫びながらそれでも懸命に努めているから「叫務」だ。

教務の仕事については、まだ大きなものがある。
PTA関係だ。

次の記事に続く。

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