子ども達にB5用紙を渡し、投げかけます。
長方形であれば、他のサイズでもOK。(試し刷りの反古紙は要注意です。)
![](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2023/08/couple_egao_bnessman-2-150x150.jpg)
紙を折って、対角線をつくってみてください。
対角線を引いてから折る、なんてのはダメです。できるかな?
恐らく、右図のようにすると思われます。
これを開けば、折り目が対角線になっているはずです。
が、なかなかうまくいきません。
折り目と頂点と合わせるのに一苦労。
ずれてしまいます。
![対角線](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2023/12/img-taikaku-21.jpg)
![対角線](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2023/12/img-taikaku-21.jpg)
うまい折り方があるので以下、ご紹介します。
先生方の授業づくりのお役に立てたら幸いです。
※この学習活動について知ったのは、
研数学館が開催する「算数・数学講演会」でのことで、2011年~2015年の頃だったと思います。
毎回、算数・数学の授業づくりに大変役立つお話をいただきました。
この場をお借りして感謝申し上げます。
研数学館のセミナーはこちら 一般財団法人 研数学館 (kensu.or.jp)
折り方
対角線は、小学校の4年生で習います。
5年になると、「対角線で分けた三角形の合同」について学習します。
その頃にこの活動をしてみるといいかもしれません。
まずは、折り方です。
![対角線](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2023/11/img20231125_box-1024x640.jpg)
![対角線](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2023/11/img20231125_box-1024x640.jpg)
長方形ABCDの頂点Cをつまんで、頂点Aと重ねます。
![対角線](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2023/11/1a6c1a2af1aa8a2dd5d7d78293dfd65e-1024x767.jpg)
![対角線](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2023/11/1a6c1a2af1aa8a2dd5d7d78293dfd65e-1024x767.jpg)
EF(赤い線)が折り目です。
次に、D’をつまんでBに重ねます。
![対角線](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2023/11/17dba09fdc455b5ee583d789c940eb93-1024x407.jpg)
![対角線](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2023/11/17dba09fdc455b5ee583d789c940eb93-1024x407.jpg)
長方形の辺ABは辺CDと重なります。
(AB=CD)
FはEと重なります。(左図)
AH(CH)が折り目です。
折るのは、これでおしまい。
これを開くと、折り目が2つ出来ています。(右図)
そのうちの1本が対角線です。
![対角線](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2023/11/img20231125_2lt-ka-1024x642.jpg)
![対角線](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2023/11/img20231125_2lt-ka-1024x642.jpg)
長方形の紙を2回折って対角線をつくることができました。
その仕方を教えるだけでは、単なる作業で終わってしまいます。
そこで、授業にしてみます。
案1 対角線の定義を確認する
折り方を教え、
開かせたところで、子ども達に投げかけます。
![](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2023/08/couple_egao_bnessman-2-150x150.jpg)
![](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2023/08/couple_egao_bnessman-2-150x150.jpg)
![](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2023/08/couple_egao_bnessman-2-150x150.jpg)
対角線が2本できていた人! (手を挙げてごらん)
ほとんどの子どもが手を挙げるのではないかと思われます。
実際に授業をしてみないと分かりませんが、
対角線を初めて習ったばかりの4年生だと恐らくひっかかります。
中には、「対角線は1本だよ。もう一本は違うよ。」という子どもがいるかもしれません。
それを説明させる場面がつくれそうです。
「対角線」とは、向かいあった頂点を結ぶ直線のことです。
折り目を「直線」とみなせば、できた対角線は1本だけ。
「折り目は直線ではない」
そういう話になると、対角線は1本もできていないことになります。
では「直線」とは何なのか?
「そのことは中学高校で学びますよ。楽しみだね。」と言っておきます。
4,5年生で、そこまで拘る子どもはいないと思われますが。
案2 平行四辺形・ひし形の学習へ
対角線ができる折り方を教えます。
開かせ、折り目を鉛筆でなぞらせます。
もちろん、
フリーハンドではありません。定規を使わせます。(A図)
![対角線](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2023/12/97bbe2d8dd7442940ecb6ee9b40321f6-1-1024x697.jpg)
![対角線](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2023/12/97bbe2d8dd7442940ecb6ee9b40321f6-1-1024x697.jpg)
そこで投げかけます。
![](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2023/08/couple_egao_bnessman-2-150x150.jpg)
![](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2023/08/couple_egao_bnessman-2-150x150.jpg)
![](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2023/08/couple_egao_bnessman-2-150x150.jpg)
折り目で線を引きました。「ある四角形」が見えてきましたね?
と言ってもぴんとこない、かもしれません。
ヒントを出します。
![](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2023/08/couple_egao_bnessman-2-150x150.jpg)
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この2つの折り目が「ある四角形」の対角線になっていますよ。
平行四辺形です。
少し学習が進んでいれば、「ひし形」と答える子どもがいるかもしれません。
よく気が付いたね、とおおいに褒めます。
授業は、そっち(ひし形)へ行ってはいけません。
T:まず、書き足して平行四辺形にしてみましょう。
![対角線](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2023/11/0483d937bf001c857ea81bc3c659d488-1024x323.jpg)
![対角線](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2023/11/0483d937bf001c857ea81bc3c659d488-1024x323.jpg)
直線を引かせます。(B図 赤線)
そこで、発問。
![](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2023/08/couple_egao_bnessman-2-150x150.jpg)
![](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2023/08/couple_egao_bnessman-2-150x150.jpg)
![](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2023/08/couple_egao_bnessman-2-150x150.jpg)
これは「平行四辺形」ですよね。
その理由をお隣さんに説明しましょう。
じゃんけんで負けた人から言いましょうか。
じゃんけんで負けた人から説明する。
これは、ペア学習でよく使う手法です。
有効なのは、
子ども達のほとんどが説明できると見込める場合だけです。
さもなければ、時間の無駄です。
![ペア学習](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2023/12/janken_boys.png)
![ペア学習](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2023/12/janken_boys.png)
説明できる子どもが少ないと思える場合は、どうするか?
その場で実態を把握します。
![](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2023/08/couple_egao_bnessman-2-150x150.jpg)
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![](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2023/08/couple_egao_bnessman-2-150x150.jpg)
全員起立!
これは「平行四辺形」ですよね。
その理由を説明できる人は、座りましょう。
座った子どもを数人指名して説明させます。前に出てきてやってもらいます。
必ず、数人にさせます。
T:立っている人! 説明できそうだと思ったら座っていきましょうね。
この指示で、子ども達は追い込まれます。
周りが次々に座り出すと、焦ります。友達の説明を全身を耳にして聞くでしょう。
それでも、
立ち続ける子どもがいます。自分に正直な子どもは、座りません。
そこをいっぱい褒めてから座らせます。
誤魔化して座っちゃう子どももいるとは思いますが、にこにこと笑顔を送ります。
この流れで、
平行四辺形であることを説明できる子どもは、増えているはずです。
そこで、先に述べたペア学習に移ります。
説明しあうようにさせます。
なぜ説明し合う場面を設定するのか?
論理的に説明できる力を(どの子にも)つけさせたいからです。
ちなみに、
友達の説明がよいと思ったら褒めてあげましょう、と言います。
説明が不十分だったら、Helpしてあげましょう、と言います。
課題に取り組むどうしでのコミュ力を育むためです。
平行四辺形になっていることの説明
子ども達はどのように説明するでしょうか。
平行四辺形の定義は、「2組の向かい合った辺が平行」というものですが、
それを説明することは少々難しいと思われます。
そこで、おさらいをします。手がかりを与えます。
![](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2023/08/couple_egao_bnessman-2-150x150.jpg)
![](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2023/08/couple_egao_bnessman-2-150x150.jpg)
![](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2023/08/couple_egao_bnessman-2-150x150.jpg)
長方形って、どんな四角形だっけ?
辺AFと辺ECが平行であることに子ども達は気付くはずです。
長方形ABCDの一部ですから、向かい合ったこの2辺は平行です。
「辺AEと辺FCが平行である」ことの説明は、どうでしょうか。
角AEBと角FCE(角CFD)の角の大きさが等しいことを言えればOKとしましょうか。
![対角線](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2023/11/img202-gh-1024x672.jpg)
![対角線](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2023/11/img202-gh-1024x672.jpg)
△ABEと△CDFが合同であることは、
合同条件から説明できますが、子どもの半分は聞いていないでしょう。
手っ取り早いのは、折ってみることです。
色を塗らせ、折らせるのです。
ぴたりと重なります。
2つの三角形は合同です。
辺ADと辺BCは平行ですから、角AEB=角DFC=角FCE。
よって辺AEと辺FCは平行です。
平行四辺形の性質(定理)を挙げる子どももいると思います。
その説明は、一度ノートに書かせてから発表させるといいかもしれません。