MENU

授業の発表アイテム  「小黒板」の使い方 

小黒板、をご存じだろうか。
お勧めの教具として以下、紹介したい。

1.小黒板とは


学校備品ではない。
べニア板に塗料を塗った手作りの小さな黒板のことだ。

初任の頃、小黒板を使いこなせるようになったら一人前、と言われた。

40年あまり奉職したが、
周囲にこれを使っている人を見たことは1度もなかった。
受け継がれることなく廃れてしまった教育文化かもしれない。

似たようなものは備品にある。
自作すれば個人持ちになるから、逐一返却しなくてよい。

ずっと自分の教室に置いておくことができる。

大きさは、たて60cm×横90cm。
これを8枚程度つくっておく。

主として授業で使う。

2.以前は、画用紙だった

考えたことを発表する授業がある。

例えば、求積問題だ。

今日のような電子機器が普及する前、
多様な解き方を発表しあうときは、画用紙を使っていた。
4ツ切りの画用紙である。

発表するよう声をかけられた子どもは、考えをそれに書いた。
授業研究などでよく目にした光景だが、
手軽な方法だから、今も行われているかもしれない。

自分も何度かやったことがあるが、短所ばかりが思い出される。

まず、画用紙が無駄に思える。(1枚数十円する)
とっておくような代物でないから、すぐにゴミになる。

肝心の発表内容が今一つ伝わってこないのは、その見づらさにある。

筆記具(マジックインキ)で書かれた文字が細い。
細いから文字が豆粒のように小さくなりがちで、余白が多い。

書き方が難しい。
子どもは簡潔に書けない。(右のイラストのようには書けない)
話せば済むことまで文章にして書いてしまう。
そこは指導していくことかもしれないが。

書き間違えると消せない
レイアウトを変更することもできない。「書き直ししたい」はNGだ。

発表を聞いている側にとってどうか。

教室の後ろにいる子どもに文字は読めはしない。
そんな細かな字を読もうとも思わない。
ぼんやりと発表者を眺めているだけである。

画用紙を見ない理由はまだある。

紙の白さが強く感じられてチカチカするのだ。

手に持って発表すると画用紙が常に動いて、
これも読みづらい。

黒板に貼って発表させればいいのだが、
マグネットでとめてる時間は早送りしたくなる。

ことほどさように、
画用紙に書かれた情報を受け止めるには根気が要ったものだった。

一方の小黒板は、メリットだらけである。

3.小黒板を使う 

小黒板はチョークで書く。
だから、いくらでも書き直せる。

チョークは太さがあるから、文字も大きくなる。
黒板に白色は目に優しい。

裏にはマグネットがついている。貼れるのだ。
移動が容易。

焦点を当てたいものはセンターに、
考えを整理するときは寄せたり離したりできる。

(右の写真は、発表のスタンバイしている小黒板たち)

検討半ばにして時間がきたときは、教室後方に置いて掲示しておくことも可能である。

左の写真は、グループの考えを確認し合っているところ。

誰がどの部分の説明をするのか小黒板を使って打ち合わせもできる。

右の写真は、音楽の一場面である。
グループで節づくりをしている。

節(旋律)をドレミで書いておき、鍵盤で確かめている。
話し合ったことが小黒板に残るから忘れても大丈夫だ。

私たちはこんな節を作りました、と言いつつ小黒板を提示する。
文字情報でも伝えることができる。

左の写真は、分数の計算方法の説明をしているところ。

小黒板に書いた本人ではなくて、別の子どもに話をさせるのだ。
当てられたら困るから、子ども達は理解しようとする。

前段でメリットだらけである、と書いたが難点は、ある。
書いたことが残らない。

次の授業で小黒板を使うとなれば、消さなくてはならなくなる。
やりくりして使うことになる。

タブレットが一人一台配布されている時代である。

子ども達のノートや撮った画像などの提示ができる。
ペンを入れることもできる。
保存もできる。

操作も一つだ。
マルチに使えるすぐれモノだが、手書きの自由さにはかなわないだろう。

使い分ければよい。

4.授業以外では

あらかじめ書いておく、という使い方ができる。

右の写真は、音楽授業のときのものだ。

Aは、曲の聴き方を書いておいたもの。
Bは、歌うとき注意することを書いておいた。

効率よく授業を進めるために事前に書いておき、説明するときに提示する。

係の子どもに持ち物や宿題を小黒板に書かせ、お知らせとして帰りの会で提示することもしていた。

自習の課題を前もって書いておくこともしていた。

5.終わりに

小黒板と似たもので、マグネット式ボードがある。
短冊になっているものだ。
これは、学校備品である。

立式したものを書かせたり、短文を書かせたりに使う。

左の写真は、算数授業の風景。
式に使われている数字が何を指しているのか説明している。

小黒板について縷々書き進めてきたが、
これを使っている教員もあまり見かけない。

授業を構想する時点で、
このような教具を使おうという発想(若しくはゆとり)がないのかもしれない。

初任者指導を担当したとき、小黒板の話をし、作ってプレゼントした。
さっそく様々に工夫して使っていた。
ささやかながら種を播いたつもりでいるが、今はどうなっているのだろうか。