「生物と空気」 実際に行った授業を書き起こし、授業シナリオとしました。
どのような授業か、簡単に言うと
映像を見せながら子ども達に投げかけ、思考を促し学習内容を身に付けさせる、というものです。
授業を行った当時(2020年)は、実験はしない等の制約がありました。
コロナ感染拡大を防ぐ措置として授業ガイドラインが示され、また、二か月に及ぶ休校があったため、時数にゆとりがありませんでした。
学習指導要領の求めている学びとは距離がある授業方法だったかもしれません。
話し合い活動も制限された中での、授業づくりでした。
そのような中での取り組みであることを予めご了承ください。
内容
1.“>酸素は減っているか?
3.“>実験しない
5.“>生物と空気 その関係図を説明させる
7.
「呼吸」って、何?
「生物と空気」 その授業が始まりました。
いきなり、画像を提示し、投げかけます。

T:なぜ口を開けているのですか?
C1:空気を吸っているからです。吸わないと苦しいよ。
C2:吸ったら、水の中で吐くよ。

空気を吸って、吐いている。
これを理科の学習用語を使って言えますよね?

酸素を体の中に取り入れ、二酸化炭素を体の外へ出しています。
言えたら、大いに褒めます。(すごーい! 拍手!!)

その働きをしている臓器の名前をみんなで言ってみよう、せーの!

C3:「肺」です。
T:もう一つ言えますよね?
C4:「えら」です。魚の場合は、えら呼吸でした。
T:そう、よく思い出したね。
じゃ、肺呼吸している動物の名前を言ってみよう。
順番に当てます。
授業が始まったばかりですが、
このようにすることで、心地よい緊張感が生まれ、こちらのペースで授業が進行していきます。
子ども達は、思い付くままに肺呼吸している動物の名前を挙げていきます。

T:肺呼吸している動物はたくさんいます。きりがないよね。
人間だけでも77億人!
みんな呼吸して、たくさん酸素を使います。
それだけでなく、
物を燃やして大量の酸素を使ってますよね。
だから、地球の酸素は、どんどん減ってきてます。
そうですよね?
酸素は減っているか?
三択問題にして投げかけます。

T:酸素は減っているのでしょうか?
1) 人間がたくさん使っているので減っている。
2) 減っていない。
3) 増えている。
正解は、「減っていない」です。
減っているというネット上の情報を見ましたが、
0.0004% というその数値は「減っていない」と言ってもいいレベルでしょう。
酸素を消費しているのに、減らない。その理由を子ども達に問います。

では問題です。なぜ、地球の酸素は減っていかないのでしょうか?
子ども達の半数はその答えを知っていました。
賢い子ども達です。


植物が酸素をつくっているから減りません。
そのことを光合成、っていうんだよ。
物知りな子どももいます。よく知っているね、とほめ、
「生物と空気」の授業はここから話を実験へもっていきます。

植物が酸素をつくっていることを知っていた人、ずいぶんいるようですね。
では、それをどうやって調べたらいいのでしょう。
実験方法は考えさせない
実験方法は考えさせません。
教科書にある実験の図を板書し、問いかけていく方法をとりました。
T:鉢植えにした植物にビニル袋をかぶせていますね。どういうこと?
C5:空気が出入りしないようにビニル袋をかぶせます。
T:こうしておくと、何かが変化してきますね。
C6:袋の中の気体の割合が変化します。
T:それを調べる道具(器具)は?
C7:気体検知管です。「物の燃え方と空気」で勉強しました。

実験の仕方を見てみよう。〇ページを開きなさい。

T:息を入れていますね。
袋の中の空気はどうなるの?
C8:空気中より二酸化炭素の割合が増えます。
T:そうですね。この時の酸素と
二酸化炭素の割合を測定し、日光にしばらく当てます。
そして、また測定するという実験です。
T:どう変化していると思いますか?

植物が酸素を出しているなら、酸素の割合は増えています。
また、二酸化炭素を吸っているなら、その割合は減っているはずです。
実験しない
「生物と空気」 ここでの実験は、条件が整えばします。
そのくらいの扱いでいいと思います。
子ども達には、実験できない理由を話しました。


この実験のために4月に「小松菜」の種をまいておいたのです。
順調に育っていましたが、虫に食われてしまっていました。
実験ができない理由はまだあります。
・予算の関係で気体検知管が用意できない。
(グループごとにさせると、とんでもない金額になります。)
・実験をする時間がとれない。
・梅雨時であり、晴れの日に実験をすることが難しい。
このような場合は、教科書を使うほかありません。

実験はできません。
その代わりに、結果は教科書で見てみましょう。
測定の結果をノートに書くように指示します。
書き方のひな形を示します。
結 果 | 実 験 前 | 1 時 間 後 |
二酸化炭素の割合 | 5% | 3% |
酸 素の割合 | 16% | 18% |
実験結果の表を読み、考えさせる
「生物と空気」 その実験結果の表を読ませます。
T:この表から分かることを話してください。
何人かに指名します。

酸素の割合が増えて、二酸化炭素が減っています。

二酸化炭素が減った分、酸素が増えているわ。

この結果からどんなことが考えられますか?

コマツナ(植物)は、酸素を出しています。
そして、二酸化炭素が減っているので、吸っていることが分かります。

植物は、呼吸の仕方が動物と逆になっていますが、
日光に当てない場合は、どうなっているか気になります。

これで、地球から酸素が減っていかない理由が分かったね。
減っていかない理由をずばり、言ってみよう!
C:植物が酸素を作っているから、です。
生物と空気 その関係図を説明させる
教科書の図をスクリーンに映します。
T:では、この図を説明してみましょう。〇〇さん、どうぞ。

C:植物が空気中に酸素を出し、
その酸素を私たちが取り入れています。
そして、
私たちが空気中に排出した二酸化炭素を
植物が取り込みます。
聞いていた子ども達は、そのように言えばいいのか、と感心します。
そこで、全員に言わせます。
T:はい、お隣さんとじゃんけんしてください。
負けた人は、〇〇さんがしたように図の説明をしましょう。
子ども達は、ゲーム感覚で始めます。
ほぼ終わったころ、投げかけます。
T:説明ができていたらほめてあげましたね。
じゃんけんに負けた人は、言わされっぱなしではいけませんよ。
あなたも、どうぞ! と勧めましょう。
植物を日光に当てない場合
「生物と空気」 その学習を深める発言がありました。
日光に当てない場合はどうなのか、という疑問です。
ここは、説明をします。

植物は、夜は、酸素を取り入れ、二酸化炭素を出しています。
ということは、
植物も酸素を吸うのですから、
やっぱり、地球の酸素は減っていってしまうと思いますよね?
ところが、
減らないのです。
植物は呼吸で使うよりも大量に酸素を作っているのです。
植物に対する見方を新たにさせる

植物について皆さんは、どう思いましたか?
ノートに書かせ、その後に全員で共有しました。
子ども達からは、植物のはたらきについて感心する内容が多く聞かれました。
その中に「植物のおかげで私たちの命がある。」という感想がありました。
どういうことか話してもらいました。

食べ物の元を辿ると植物でしょ。 その養分をもらって動物が生きている。
植物は、動物が必要な酸素もつくっている。
だから、私たちの命は、植物によって支えられてると言えます。
植物を大切にしないといけないと思います。

すばらしい発言でした! 大事な役割をしている植物ですが、
緑がどんどんと地球上から失われて行っているんです。
森林の減少という問題です。
そのことについては、3学期に勉強していきましょう。
次時の予告をして授業終了です。
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