理科の「授業開き」 をどのように行ったのかご紹介します。
この授業は、コロナ禍が始まった2020年の実践を書き起こしたものです。
理科授業を担当することになった方のお役に立てたら幸いです。
「授業開き」という言葉に馴染みがない方もいらっしゃるかもしれません。
簡潔に言えば、初めて行う授業の事です。
学級担任ではない専科教員は、
始業式から三日後あたりに、その日がやってきます。
その授業は、全力で準備し臨まなければなりません。
その年、理科の「授業開き」として4つの内容を考えました。
・自己紹介
・理科でつける力とは
・授業の進め方
・その他(成績の話)
以下、このサイトの内容は次の通りとなっています。
1.「本日の予定」を板書しておく
2.“>分かりません、と言わせる
4.“>心地よい空気が流れていること
6.“>「問題を見つける」とは
8.「初めて知る」を入れる
9.先生からも問題を出す
11.理科は、生活に大きく関わっている (理科を学習する意義)
※授業の進め方、成績についての話はこれから作成します。
「本日の内容」を板書しておく
授業が始まる前、子ども達はこう思っています。

・こわい先生なのか、やさしい先生なのか。
やさしい先生だったらいいな。
・どのような授業をするのだろうか。
楽しい授業だとうれしいな。
どきどきだか、わくわくだかしています。
休み時間にもかかわらず、ずんずんと教室に入っていきます。
何人かが、「理科の先生だ」などと言っているのが耳に入ります。
チョークを手に取り、
黒板の左端に「本日の内容」と書き、
くるりと振り返って子ども達を見渡していると、変化が起こりだしました。
座り始めたのです。
授業の始まりを察したようです。

少しずつおしゃべりも収まって、キンコンカン。
この時点で子ども達は、もう授業者の手の平に乗っている、
そんな空気になりました。
「本日の内容」を板書しただけで、「授業を受ける構え」が生まれました。
視覚情報にして授業予定を知らせておくこと。
これは、年間を通して行う授業前のお決まりの動きです。
順番に指していく
理科の「授業開き」
その第一声は名乗ることから始まりました。
今年度、みなさんの理科授業を担当します、〇〇です。
くるりと黒板に向き、自分の名前をさっと書きます。
続けてその隣に「41」と書き、問いかけました。

何の数でしょう?

一呼吸おいて「はい、〇〇さん。」と名前を呼んで
最前列の子どもを指します。
いきなり指されて面食らっているよう。
呆然としています。
「考え中のようですね。」と言って、隣を指します。
やはり、黙っています。
3人目も同様。
指される、と緊張するものです。(大人も同じですね。)
急にスポットが当たり、自分にみんなの視線が集まったように感じます。
心拍数が上がり、頭が真っ白になる。
その心境はよく分かります。
授業をする立場からすると、これを利用しない手はありません。
授業に適度な緊張感を持たせるには、これが一番です。
しかし、このままではいけません。
分かりません、と言わせる
理科の「授業開き」
いきなり指され、一言も言葉を発っせない事態。
すぐに手を打たねばなりません。このようなときの処し方を教えるのです。

分からなかったら、分かりません、と言いましょう。
投げかけられたら反応する。これが大事です。
授業は、流れが大切。
流れとは「思考の流れ」のことです。
子どもからの反応が滞ると、この流れがプツリと切れてしまいます。
そうならないように、
身の処し方を初日に教えておくのです。
もちろん、授業をする側も、流れが止まらないようにその子をフォローします。
「分からない」からこそ、学校に来ている
指名した子どもが発言するのを待っていてはいけません。
気の毒なのは、その子どもです。
全員から注目を浴びている状態から早く解放してあげなくてはいけません。

皆さんは、分からないからこそ学校へ来て勉強しているんです。
分からなくていいんです。 そんなときは「分からない」と言っちゃおう。
その理由を子ども達に話します。
T:分からないから、できないから、学校に学びに来ているのです。
分からない、できないのは、当たり前。 恥に思うことはないのです。
授業は望ましい方へと変容を促す営みです。
心地よい空気が流れていること
理科の「授業開き」
「41」という数は何かと投げかけられ、子ども達の多くが?マークを浮かべる中、
閃いたように答えを言う子が現れます。

C:41は、先生の年齢です!
T:OH! うれしいことを言ってくれるね。
発言した子どもを含めてクラス全員は、この先生、41歳って、絶対思っていません。
言われた本人(私)も、心から「うれしい」とは受け止めていないのですが、
満面の笑みで返して、「年齢ではありません。」と否定します。
そうするのは、
授業が心地よい雰囲気で進行していくのを保つためです。
やがて、正解する子どもが出てきます。
「41」とは、教員の経験年数でした。
理科で身に付ける力は?
理科の「授業開き」
「41」についてあれこれ話し出して、何でも言いやすい空気になりました。
「41」の隣に「64」と板書し、同じように言わせていきます。
これはすぐに分かって私の年齢で正解。
3つ目に書いた数字は、「105」。
私が1年間に行う理科の授業数です。
勘のいい子どもが当ててくれ、その発言につなげて発問します。
この答えは、ちょっと難しい。

理科授業は全部で105時間あります。
その105時間で皆さんが身につける力は何でしょう。
誰も手を挙げない・・・と思いきや、答える子がいるから驚きました。
しかも、的はずれではありません。
その子の言葉を少し補って、理科で身に付ける力を
「問題を見つける力」・「調べる力」・「結果から考える力」と板書し
再び投げかけました。

ところが、十分に勉強することができない状況です。 なぜでしょう。
全員が叫ぶように言いました。 コロナウイルス!!と。

すかさず 「新型コロナウイルス」 と板書します。
ここからが本日の内容の1つ。
「理科でつける力とは」の話の始まりです。
コメント