棒で正方形をつくって、横につなげていきます。
正方形がn個のとき、棒は何本か?
5年生に行った授業を元に、シナリオにしてみました。
現場の先生方のお役に立てたら幸いです。
授業の準備
① 四つ切の画用紙を1枚用意します。
横長になるように2枚にカットし、つなげて短冊状にします。
その画用紙に正方形を7つ書きます。(右図)
![算数授業シナリオ](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2024/03/seihoukei2.jpg)
正方形が5つになるように、短冊の右端を折り返します。
2つ隠すのです。
その意図は後述します。
![算数授業シナリオ](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2024/03/seihoukei3-3.jpg)
② 短冊黒板を用意します。(学校備品)
子ども達が考えた式を書くのに使います。
10~15枚くらいあるといいです。
![](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2024/03/fa31c843444333a69dad7b864f27c31e.jpg)
③ 板書を決めておきます。
授業終了時の黒板を
ノートに書き、シミュレーションしておきます。
![算数授業シナリオ](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2024/03/e8886be54b1fe1ef016cb5aa073d2b92-2-1024x376.jpg)
授業のはじまり
ちょっとしか見せないよ。
おもむろにそう言ってマスの書かれた画用紙をちらりと見せ、すぐに伏せてしまいます。
T:何が書いてあったでしょう。
C:えっ?
C:マス目がいくつか書いてあったような・・・。
もう一度見せて、問題を出します。
![算数授業シナリオ](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2024/03/yomiki234we.jpg)
T:4本の棒で正方形を1つできます。
私が持っている紙に書かれている棒は、何本でしょう。
たぶん、当たらないと思いますけど・・・。
さっそく数え始めた子ども達。
人差し指で1,2,3,4と空書きのようにやり出しましたが、
5秒ほどで伏せてしまいます。
C:えー、早すぎる。数えられなかったー。
C:わかった! 16本です。
C:15本じゃないの?
そこで投げかけます。
![](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2023/08/couple_egao_bnessman-2-150x150.jpg)
いま、棒の本数をどのように数えましたか?
即座に手が挙がりました。
説明する
今、手を挙げている人達。どうぞ。
みんなの前で、
どのように本数を数えたか、実際にやってもらいました。
1、2、3、4と言いながら指示棒でマスをなぞるよう指示します。
子ども達は誰からやるかじゃんけんを始めました。
なかなか自治的です。
トップバッターの子どもは、横棒の数の次に縦棒を数える仕方でした。
1から16までの16本です。
![算数授業シナリオ](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2024/03/P10.jpg)
![算数授業シナリオ](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2024/03/P10.jpg)
2番目は、
上と下の棒の数が同じで5本ずつ、縦は6本。合わせて16本と数えました。
なるほど、なるほど。
出番を待っていた子どもは、言われてしまったようです。
「同じです」と言って席に戻っていきました。
![](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2023/08/couple_egao_bnessman-2-150x150.jpg)
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16本のようですね。それ以外の数え方はありますか?
タケノコのようにあちこちから手が挙がりました。
順番に指して、同じように黒板でやってもらいます。
すると、このような説明がありました。
![](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2023/09/miageru_woman-han.jpg)
![](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2023/09/miageru_woman-han.jpg)
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棒2本でL字の形にすると5つあるでしょ。残りをたして16本です。
![](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2023/08/ce_syokumu_shitsumon_reisei-150x150.png)
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![](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2023/08/ce_syokumu_shitsumon_reisei-150x150.png)
ぼくは、コの字にして数えて16本になりました。
まだ手が挙がっていますが、一旦下ろさせます。
![](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2023/08/couple_egao_bnessman-2-150x150.jpg)
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その数え方を、式に表せますか?
すでに発表されたものでもOK。
3つ書けたら見せに来るように指示しました。
でも、ちょっと待った。式を書く前にすること。
まずノートに日付と本日のタイトル。それから図を写すこと。
私もそれを黒板に書きます。
ほどなく数人がノートを持ってやってきました。
式を説明する
式の1つを短冊黒板に書いてもらいました。
それが次々に貼られていき、黒板がごちゃごちゃしています。
そのままでは見にくいので、短冊を動かして整理をします。
重複を避けたつもりでしたが、同じものがありました。
それらをグループにして固めます。
5×2+6=16
まずは、これから行こう。 この式、読めますか?
式の意味を問いました。
列指名します。
この女の子は、説明の最後に「合ってますか?」と聞いていました。
確認しているところがいいですね、とほめます。
![算数授業シナリオ](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2024/03/P1010472b.jpg)
![算数授業シナリオ](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2024/03/P1010472b.jpg)
同じように残りの式について「読んで」いきます。
![算数授業シナリオ](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2024/03/P104.jpg)
![算数授業シナリオ](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2024/03/P104.jpg)
式に出てくる数字は図のどこのことか?
指しながら説明をさせていきます。
出てきた式が10通り近くありました。
![](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2024/03/tanzaku-3.jpg)
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〔1+1+・・・+1=16〕というのもありました。
最初に発言した子どもの数え方です。
一目で分かるものはさらりと触れて進めましたが、
その一つひとつの説明を聞くのは、ちょっと怠(だる)かったかもしれません。
転
授業を「起承転結」という言葉に当てはめれば、「転」とする時になりました。
仕掛けをしておいたのです。
その出番。
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これらの式に共通するのは・・・? そう、答えの本数ですね。
この紙に書かれている棒の本数は、その16本で「当たり」でしょうか?
じゃ~ん。
と言って画用紙の折った部分を開きます。
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あれ~、正方形のマスは7こ書かれていたのでした。
じゃあ、棒は何本でしょう?
うわー、やられた。
だまされた!
非難の嵐の中、にこにこして投げかけます。
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もう、この式は使えませんね。
新しく考えなくてはダメなのでしょうかねぇ。
C:・・・いや。使えます。
C:そうそう、ちょっと変えればいいんだよ。
えっ、どうこうこと?
活用する
![](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2024/02/happyou_boy-face1-138x150.jpg)
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5のところを 7にすればいいんだよ。
みんなポカンとしています。
今、Aさんが言ったことが分かった人、いますか? と尋ねても反応なし。
先生も同感。
ちょっと、何をいってるのか分かんないなぁ(と演技しつつ)、前に出て来てもらいます。
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5本のところは、7本になったでしょ。
だから、この式はこうなるよ。 つまり22本です。
![算数授業シナリオ](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2024/03/9915b2ddb1019bd6ad7c11c4c52db86e.jpg)
![算数授業シナリオ](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2024/03/9915b2ddb1019bd6ad7c11c4c52db86e.jpg)
大いにほめます。
じゃぁ、他の式も5を7に変えれば22になるんだね?
みなさん、それでいいですか?
![](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2023/09/miageru_woman-han.jpg)
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![](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2023/09/miageru_woman-han.jpg)
横の棒は7本が2列で7×2でいいけど、
縦の棒は8本になっているから+8にしないとダメです。
![算数授業シナリオ](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2024/03/ba0f505b48d0d477abbacd298da868fc.jpg)
![算数授業シナリオ](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2024/03/ba0f505b48d0d477abbacd298da868fc.jpg)
![](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2023/08/couple_egao_bnessman-2-150x150.jpg)
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よく気が付きましたね。他のも確かめてごらん。
時間は1分です。
5マスから7マスに変えたときの式を言ってもらいます。
とりあえず、この4つを取り上げます。
![算数授業シナリオ](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2024/03/c0061349eeecb2ae6dd795d689650484.jpg)
![算数授業シナリオ](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2024/03/c0061349eeecb2ae6dd795d689650484.jpg)
T:どの式が便利そうですか?
C:3×7+1の式です。
C:マスの数だけ変えればいい。
同じように投げかけます。
![算数授業シナリオ](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2024/03/c283cca48178609dd16676bc003532a7.jpg)
![算数授業シナリオ](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2024/03/c283cca48178609dd16676bc003532a7.jpg)
T:どの式が便利そうですか?
C:7×3+1です。
C:それは、計算としては
3×7+1と同じです。
![](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2023/08/couple_egao_bnessman-2-150x150.jpg)
![](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2023/08/couple_egao_bnessman-2-150x150.jpg)
![](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2023/08/couple_egao_bnessman-2-150x150.jpg)
3×7+1の式は、マスの数だけ数えればいいので簡単ですね。
ということは・・・マスが9こだったら?
C:3×9+1で本数が分かります。
C:28本になります。
C:マスが10こだったら本数は、31本になるよ。
まとめ、そして発展
本数の変わり方を整理してみましょう。
どのようにするといいですか?
しーん、としているので主導していきます。
マスが1つ増えると、
棒の数はいくつ増えますか?
C:3つです。
C:コの字が1つ増えるから3本です。
![算数授業シナリオ](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2024/03/7e8d1cfcee87441ec10bc8e527914502-1.jpg)
![算数授業シナリオ](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2024/03/7e8d1cfcee87441ec10bc8e527914502-1.jpg)
![](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2023/08/couple_egao_bnessman-2-150x150.jpg)
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![](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2023/08/couple_egao_bnessman-2-150x150.jpg)
マスが8こなら・・・そう3本増えて25本になるね。
では問題。
マスが□こだったら、どういう式になると思う?
![](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2023/12/taiiku_dance_nigate-150x150.jpg)
![](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2023/12/taiiku_dance_nigate-150x150.jpg)
![](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2023/12/taiiku_dance_nigate-150x150.jpg)
3×5+1の式の5を7や9に変えたように、
そこを□にすればいいです。
![](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2023/08/couple_egao_bnessman-2-150x150.jpg)
![](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2023/08/couple_egao_bnessman-2-150x150.jpg)
![](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2023/08/couple_egao_bnessman-2-150x150.jpg)
今のBさんの発言が見えましたか?
見えた人は、ノートに書いてごらん。
[3×□+1]です。
変わる数は、□。
3と1は変わりません。
![算数授業シナリオ](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2024/03/3e1e027562731a7e2c969cef284e62cf.jpg)
![算数授業シナリオ](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2024/03/3e1e027562731a7e2c969cef284e62cf.jpg)
![](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2023/08/couple_egao_bnessman-2-150x150.jpg)
![](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2023/08/couple_egao_bnessman-2-150x150.jpg)
![](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2023/08/couple_egao_bnessman-2-150x150.jpg)
この画用紙の短冊には、正方形のマスが7つ書いてあって、
棒の本数は、22でした。誰も、当たりませんでしたね。
ところで、マスが100書いてあったら・・・棒の数はいくつでしょうね。
即座に「301。」と返ってきました。
これで終わりません。
![算数授業シナリオ](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2024/03/P101my2.jpg)
![算数授業シナリオ](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2024/03/P101my2.jpg)
もう一つ短冊を用意していました。
三角が横に並んでいます。
みなさんは、もうすぐに式がつくれますね?
書けた人は見せに来てください。
この授業の感想を言ってもらいたかったのですが、時間がきました。
![](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2024/03/P10ouyou.jpg)
![](https://ri-sen.com/wp-content/uploads/2024/03/P10ouyou.jpg)
実際に行ったことを元にシナリオにしました。
その大元となっている授業があって、さる付属小学校の公開研究会でなされたものです。
追試してみたのです。
私のオリジナルでないことをお断りしておきます。
そして、授業者やパネルに登壇くださった方々に対して、多くの学びをいただいたことに感謝申し上げます。