月の形と太陽 その授業シナリオです。
授業づくりの参考にしていただけたら、幸いです。
目次
1.この単元 “>朝に見える月の変化
2.導入は、ニュースで 11.“>レディネスを把握する 12.“>画像で進める 13.“>夕方に見える月の変化 14.“>記録の仕方を指導する 15.“>高さの測り方 16.“>「教科書」を使う (観察の代わり) 17.“>まとめさせる
1.観察は無理
月の形と太陽 この授業の初めに 「教科書で勉強します」と宣言します。
観察ができないからです。
天体観測を自宅でするよう勧めはしますが、難しいようです。
その時間帯は、子ども達の多くは習い事の最中です。
そもそも学区はマンションなど高い建物が林立する都市部であるため、
子ども達の家から月の動きを観ることはできません。
広々とした近くの公園に行くとなれば、保護者の協力も必要になってきます。
教科書を使って如何に楽しく授業を進めるか。
これが授業づくりの課題になってきます。
2.導入はニュースで
月の形と太陽 この授業をどうするか?
アンテナを張っていると使える情報が入ってくるものです。
月面に水が存在することがニュースになっていました。(2020年10月)
授業の冒頭、この画像をスクリーンに映し出し、投げかけました。

何の写真でしょう?
※左図は、ニュース画像を模したものです。
新聞・TVニュースなど見ていないようです。

ややあって、月の画像らしいことに数人が気付きます。
クレーターと思しきものが見えるからです。
月面に水が存在することが確認されたニュースの画像だったことを伝えます。
そして、投げかけます。

月に水がある、という発見はどんな意味があると思いますか?
参考:
NASAプレスリリース「NASA’s SOFIA Discovers Water on Sunlit Surface of Moon」
子ども達からまたも反応がないので、さっさと言っちゃいます。

月に水があれば、長い間 月面で活動することができます。
アルテミス計画というニュースに触れます。 アルテミス計画 – Wikipedia
2028年までに月面基地の建設を開始するというNASAのプロジェクトのことです。
日本も参画しており、500億円の予算で取り組んでいると話します。
3.レディネスを把握する
月の形と太陽の授業
冒頭で月に関する最新ニュースの紹介をしました。
今度は、子ども達の番です。
月に関することをしゃべらせます。

月についてこれまでに学習したこと、知っていることを話しましょう。
座席順に指名していきます。こうすると教室に緊張感が漂います。
こんなことが上がってきました。
・月面の模様がうさぎが餅をついているように見える。
・外国では、カニやライオンに見えるって。
・クレーターがある。
・日ごとに形が変わっていく。
・太陽と同じ動きをしていて、東から西に動く。
・月は球形をしている。
・月の裏側は見えない。
・太陽の光で光り、月は自らは光っていない。
・地球の1/4くらいの大きさ。
・満月から満月まで約29日。
※太字は既習の内容です。

もう少し、あってもよさそうですが切り上げます。
レディネス(学習の準備性)が何となくつかめました。
そこで、次の映像を映します。(教科書にあります)
4.画像を使って進める
月の形と太陽の授業
進めるに当たっては映像を使って少しおさらいをします。

月の形に名前がつけられています。 言えますよね?
学習用語として
「満月、新月、三日月、半月」をおさえます。
半月はどちらも半月、と呼ぶことを確認します。
「上弦の月、下弦の月」については、
知っている子に説明をさせます。

確認ができたところで、投げかけます。

この図を見ていると学習することが浮かんできますよね? うん、と言ってごらん。
子ども達は素直には「うん」と言えません。
学習することが浮かばないからです。
少し待っていると手が挙がります。「形が変わるのはなぜだろう?」と言い出します。
このような子ども達を増やしていかねば、と思います。
5.夕方に見える月の変化

月の形が変化して見えるのは、なぜでしょう。
それが説明できるように勉強していきましょう。
すぐ手が挙がりました。
太陽が関係している、と言います。
すでに学習している子どもでしょう。が、その先を言わせてはいけません。

月の形の変化は、太陽が関係している、というのですね。
どういうことなのでしょう。
すかさず夕景の実写映像をスクリーンに映します。

夕方に見える月は、日が経つとどうなっていくでしょうか。

だんだん太くなっていきます。つまり、
満月の形に近づいていくと思います。
月の見える位置についてはどうか投げかけます。

西から南の空へと動いていきます。つまり、
太陽から遠ざかっていきます。


では、どのように変化するか、観察しましょう。
投げかけてから問題を板書します。
夕方見える月は、日がたつにつれてどのように変わっていくだろう。
赤チョークで囲み、子ども達に問いかけます。
6.記録の仕方を指導する

この写真を実際に観察したとします。 何を記録するか、言えますよね?
3つ言えたらいいですね。 プラスもう一つ言えたら素晴らしいです!
まず記録するのは、月の形です。
そして、その方位と高さも調べます。
もう一つは、
その時の太陽の位置です。
それらはどのように記録したらいいのかを
指導していきます。

観察にあたって記録用紙を用意します。
実際に観察をする児童は少ないのですが、画像を映しながら投げかけていきます。

観察用紙に景色を描くのはなぜですか?
同じ場所で観察することで変化が捉えられます。

縦の軸に10°、20°、30°とあるのは?
高さを角度で表しています。


高さは、道具を使わないで測れますよね?
高さの測定方法は既習ですが、忘れています。
7.高さの測り方
月の形と太陽
その観察の際の高さを測定する方法をやってみせて、させていきます。

立ちましょう。
以下、指示していきます。
腕を伸ばして目の高さにもっていく。
そこを0度とする。

真上の天井まで握りこぶし何個分でしょうか。
調べ終わったら座るように指示します。

子ども達の大半が「握りこぶし9個分で真上」になったと答えます。
そこで、<握りこぶし1つ分 は10度> とおさえます。

なぜ太陽も記録するのですか?

月の変化が
太陽と関係していると考えられるので、
太陽の位置も記録します。
同じ場所、同じ時刻で
二三日おきに2回調べることを確認し、
用紙を配布します。

8.「教科書」の結果を使う
月の形と太陽
この変化を実際に観察することは、できません。
そこで、教科書にある結果を使います。配った用紙に写させます。

10月23日の月の方位、高さ、形について言いましょう。
座席順で答えさせていきます。
10/26、10/29も同様にして全員で確認していきます。
月の傾きの変化や太陽の位置についても
発言する子どもがいます。


この結果から分かったこと、 気づいたことを書きましょう。

太陽の位置はほぼ同じで、月は太陽から遠ざかっていきます。

月は、日が経つにつれて高くなり、西から東の方へと位置を変えています。

月の明るい部分が多くなっていきます。
そして、月の輝いている側、明るい方向の先には太陽があります。
月と太陽の位置関係を発言する子どもはごく少数です。
発言がない場合は「太陽は月のどちら側にありますか?」と補助発問をします。
9.キーワードを使ってまとめる
月の形と太陽についてここまでをまとめます。
その際に使うべき文字を知らせるようにします。

何人かに、まとめを言ってもらいましょう。 中に漢字4つ入るといいね。
と投げかけ、「明、増、東、側」と板書します。
話し始めも「夕方見える月は」に続けるように指示します。
「自信がある人は、どうぞ!」と促すと数人がチャレンジします。
最初に数人に言わせるのは、この後、どの子どもにもまとめが書けるようにするためです。


夕方見える月は 、
日が経つにつれて明るい部分が増えていき、西から東へと
位置を変えていきます。
月の輝いている側の先には太陽があります。
数人によるチャレンジが終わっても書かせるのはまだです。
今度は、ペア学習させます。
ペアでまとめを言い合うのです。
この後、まとめをノートに書かせます。
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