大地のつくり
小学校6年理科の 授業シナリオ です。
授業づくりの参考にしていただけたら、幸いです。
この単元は映像資料を使って進めていきました。
その理由は2つ。
1.地層の観察ができません。
「露頭」は学区で見られますが、安全面での確保ができません。
2.「鉱物・化石標本」が使いづらいです。
廃棄になるくらい古いもので、ラベルは剥がれ鉱物のいくつかは散逸。
少しでも理科授業が楽しい時間になるように進めました。
目次
第1時
・学校の写真で授業を始める
・写真から分かること、思ったことを言わせる
第2時
・写真は、観察の代わり
・学習用語を教える
・まとめが全員 書けるように
第3時
・地層の広がり ボーリング 地層の推定
第4-5時
・化石とは? 大昔とは?
・「生活していた跡(あと)」、「生き物の体」とは?
・化石から分かること
・恐竜の話
第6時
・地層のでき方 水のはたらきとは?
第7-8時
・堆積の実験
第9時
・なぜ、地表で見られるのか? 大地の隆起
第10時
・岩石標本の見せ方
第11時
・火山灰の観察
第12時
・大地の変化と私たちのくらし (地震、火山の噴火)
授業の始め方(学校を写した写真を提示する)
大地のつくり。 第1時。
学校の写真を提示して授業スタートです。

どこでしょうか?
子ども達は、すぐに気付きます。
自分達の通う学校の、その前の通りを写した写真です。

学校の前を写した写真です。
このブロックを取り去ると、どうなっているでしょうか?

土や石ころなどが見える、という反応の中に
「しま模様になっている」と答えた子どもがいました。
どういうことか?
発言した子どもに説明してもらう手もありますが、次の映像を提示しました。
写真から分かること、思ったことを言わせる
大地のつくりの授業。
今度は、別の写真を見せて分かったこと、思ったことを言わせていきます。

これは、別の場所の崖の写真ですが、「しま模様」に見えますか?
前の写真のブロックを取ると、実は、こんな感じになっているのです。
このしま模様を見て、一言どうぞ!

小石がたくさん見えます。
層になっていて、色や厚みが違います。

どのようにしてしま模様ができたんだろう。

工事で砂利をまいたからだと思うわ。


すばらしい気づきですね。
では、なぜしま模様に見えるのか、から考えてみよう。
予想として次のようなことが出されました。
・色の違う土が重なっているから。
・砂とか土とか、小石が入っているとかで分かれているから。
その検証として実際に「しま模様」を見に行き、確かめればいいのですが、
かなわないことを告げられ、子ども達はがっくり肩を落としました。
私有地なのです。
立入を許可されても安全面がクリアできないと実施はできません。
写真を、観察の代わりとする
大地のつくりの授業。第2時
この学習の進め方を説明しておきます。

残念ですが、見に行かれません。
教科書の写真を観察の代わりとします。〇〇ページを開きましょう。
崖の写真がありますね。これを実際に見に行ったとします。
どんなところを見るか言いましょう。 〇〇さんからどうぞ。
観察するポイントについて確認をするわけです。
層の色、厚み、層に含まれるものが何か、層の重なり方などが出されました。
それらの観点にそって写真から分かることをノートに書くよう指示します。
その作業中につぶやきます。

5つ以上書けた人がいます。たくさん書ける人は観察力がありますよ。
書いたことを発表させると以下の内容が出されました。
・層の厚みが3mもある。
・石が多い層があり、その石は丸みがあって、河原の石に似ている。
・砂の層は厚みが1mくらいある。
・砂利の上に小石の層があってまた砂利になっている。
・層は水平に重なっていて、遠くまで続いている。
・これは人が造ったのではなさそうだ。

学習用語を教える
大地のつくりの授業。
学習用語をおさえます。

しま模様の白っぽいところは、何でしょうね。

泥のようです。

写真の説明にある「れき」とは何かを問います。
教科書を注意深く見ている子どもが、直径2mm以上の石のことと答えます。
同様に砂の大きさ、泥の大きさを確認します。
砂は2mm~0.06mm。
泥は、0.06mm以下のものを言うことが分かりました。
そこで、投げかけます。
れき、砂、泥。呼び方の違いは何の違いでしょう?
「粒の大きさ」と返ってきたらOK。 更に投げかけます。
違いは、粒の大きさだけでしょうか?
「同じ砂でも色が違ったりするよ。」、「石もいろんな色があるよ。」、「土と言っても、黒っぽいものや赤っぽいのもある。」などの発言がなされました。
全員が書けるようにする
大地のつくり。
ここで学習を一度くくります。

しま模様に見えるわけが分かってきましたね。 「うん」と言ってごらん。
そう言われても「うん」と子ども達は言いません。
うっかり「うん」と反応しようものなら、大変。
たちまち「じゃ、言ってごらん」と指名されてしまいます。
子ども達の多くは、未だ文章化できていないのです。
それを承知の上で当てていくと言える子どもはいるものです。
・その層が何でできているかによってしま模様になります。
・それぞれの層を作っている粒の大きさや色が違うのでしま模様に見えます。

しま模様に見えるわけを全員、言えるようになりましょう。
使った方がいい言葉がありますが、それはどんな言葉でしょうか。
層、粒の大きさ、色が挙がりました。
その3つを入れて書くように指示しました。そのノートを見せに来るように言います。
要領よく書けた数人にノートを読んでもらいます。
これが書けない子どもへの手立てとなります。そう書けばいいのか、となります。
まとめの文の例:層をつくっているものの粒の大きさや色が違うので、しま模様に見えます。
学習用語を定着させる
大地のつくり。
第2時の授業の様子です。
写真(東京都大島町 地層大切断面)を提示します。

こんなしま模様もあります。 前の写真との違いに気が付きますか?
次のことが挙がります。
・水平ではなく曲がっています。どうしたのかな?
・お菓子(バームクーヘン)みたい。
・厚みはなくて何層も重なっているよ。
・全体が茶色っぽい。
・れきの層がなさそうだ。
・砂でもなく、土でできているみたい。

ここで写真の説明をします。

これは火山灰でできた「しま模様」です。
「しま模様」をつくっているものは、これで4つになりましたね。
それをお隣さんに言ってみましょうか。右側の人からどうぞ。
4つとは、れき、砂、泥そして火山灰です。
次に、新たな学習用語を知らせます。
崖に見られるしま模様は、れき、砂、どろや火山灰がそれぞれ層になって
積み重なってできたものです。
この重なりを「地層」といいます。
定着させるために、復唱させたり、書かせたりします。

地層とは何か、お隣さんに説明しましょう。
今度は、左側に座っている人からどうぞ。

言葉のやり取りによるペア学習の後、地層とは何かをノートに書かせます。
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