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安全指導  防犯ブザー配布の前に寸劇してみた (1年生の担任は楽しい!)  

小学校1年生の担任をしていました。
そのときの学級だよりをもとに、その取組みを発信しようと思い立ちました。

現場の先生方のお役に立てたら、幸いです。
タイトルの記事を先に、という方は 2つ目のJump there.をクリックしてください。

内容

1.挨拶は 
2.物を渡すときは →Jump there.
3.一人ずつ 自己紹介 

4.防犯ブザーを配る →Jump there.  ※タイトルの情報をダイレクトに得たい方はこちら
5.学級通信は 
6.話すこと、聞くこと →Jump there.

7.話をしたくなるのは →Jump there.



以下は、学級だより第1号。
新学期が始まって1週間の教室の様子を振り返って書いたものです。

1.挨拶は  

□木曜日のことです。
 挨拶の勉強をしました。

Ri-せん

朝、眠たい人は、元気がない挨拶になっても仕方がないよね。          


 だめ(と、ほとんどの子ども達。予想外の反応でした。)

       どうしてですか。
       眠いんだから、しょうがないでしょ。

 すかさず、三人から手が挙がりました。

あのね・・・夜遅くまで起きているから、いけないの。

       そうかぁ、すごい!
       よく寝て、朝は元気な声であいさつするんだよね。

 「元気な声」にあと二つ足して、挨拶のめあてを示しました。
 どれを頑張ってもいいことにしました。

1の1 挨拶のめあて

① 元気よく挨拶をする  ② 笑顔で挨拶をする  ③ 自分から先に挨拶をする

□翌朝、元気な声で挨拶をして教室に入って来る子ども達がたくさんいました。

 「〇〇(私の名前)先生、おはようございます。」

 名前をつけて言われると、こういう挨拶はうれしくなります。
 私も、「〇〇さん、おはようございます。」と名前を付けて声をかけています。

1年生の4月 

2.物を渡すときは

□この日も配布物がたくさんありました。
 座席の先頭の子どもに、その列の人数分を渡して、後ろに回してもらいます。

Ri-せん

物を渡すときには、「どうぞ」と言うのですよ。                  


 受け取るときは、「ありがとう」です。
 省略して「どうも」も可です。

 小さな声で言っているのが聞こえてきます。
 根気よく指導していきます。

3.一人ずつ 自己紹介

□木曜日のメインは、自己紹介でした。
 自分の名前と好きなもの(こと)を一人ずつ言ってもらいます。

 みんなの前で行うので、かなり緊張する場面となったようです。
 え! ほんとにやるの、
 と言わんばかりの顔や一瞬フリーズしてしまった子が見られました。

 はきはきとよく通る声でできた子もいました。
 (うちで練習してきたのでしょうか。) 

1年生の4月 

声が小さくなってしまい、そばにいても聞きとれない子が半分くらいいました。
緊張のあまりか、助けを求めるような目で私を見ながらいう子もいました。
(罪悪感に包まれました。こんなことをさせて、ごめんね。)

遊びや学習活動を通して、これから子ども同士の関係が作られていきます。
音読を取り入れ、安心して元気な声が出せるようにしていきます。

第2号 4月18日発行より

4.防犯ブザーを配る

朝の会。
「先生のお話」のコーナーになって、

       今から先生と、誰か劇をしませんか。 

と投げかけると、男の子がさっと手を挙げました。
前に出て来てもらって、自分は教室の入口付近でスタンバイ。

劇の始まり。
ふっ、ふっ、ふっ・・・
不気味な笑いを浮かべながらじわじわとその子に近づいていきました。

あっさりとその子は私につかまり、抱きかかえられてしまいました。
「助けてー」の声も出しません。

ここで劇は終了。

1年生の4月 
Ri-せん

Aさん、声も出せない様子を上手に演じていましたね。はい、拍手。

次に劇をしてくれる人は、逃げるんですよ。はい、やりたい人!                                   

二番目に登場した子は、私がつかまえそうにすると、一目散に教室の中を走って逃げだしました。

        ふっ、ふっ、ふっ・・・。まあてぇー

追いかけっこが始まりました。(走るのはいけません。今回は特別)
教室は、はじけたような子ども達の笑い声。

三番目の子どもは、扉の陰から私が現われるとすぐに逃げ出しました。

Ri-せん

あのね、変なことをする大人ばかりじゃないの。
みんなと仲良くしたくて話しかけたい人もいます。
そういうときは、すぐに逃げたりしないで、ちゃんとお話しするんだよ。

その後に「アイスを買ってあげるから、クルマに乗らない?」バージョンをしました。
まとめに入ります。

つかまってしまいました。怖くて声もだせません。さて、どうしますか?

子ども達から発言がありません。

防犯ブザーを見せ、使い方をまた劇で行いました。

1年生の4月 

□子ども達は、ブザーが「てんとう虫」になっているのをとても気に入ったようでした。
 びっくりするような音が鳴るし、
 お尻もぴかっとなるし、おもちゃをもらった気分。

       おもしろがって、学校の帰りにピーピーやっていると誰も助けに来なくなりますよ。

 そんな話を付け足しました。

5.学級通信は、

□この日のことを子ども達は家でどのように話したのでしょう。
 懇談会で、お一人お一人から入学後のお子さんの様子をお話しいただきました。
 学校の出来事を家庭で話しているお子さんは、多くないようです。 (そう言えば、我が子もそうでした。)

 第一子を入学させた保護者の方にとっては、学校での様子は気になるところだと思います。
 お友達はできたかな、どんなことを勉強しているのかな、先生の話は聞いているかな。
 先生は、一生懸命にうちの子を見てくれているかな、等。

□保護者の方からこのようなお手紙をいただきました。(引用のお許しをいただいております。)

 仕事をしている母親としては、時間との戦いのような毎日で、寝かせるまでの短い時間では十分子どもと関わる時間がもてず、ゆっくり話をする余裕もなく、反省の毎日です。

 そのような中でも、学校の様子を積極的に話してもらえない我が家にとっては、学級だよりは親子の会話が弾むとても大切な題材となっています。毎日の準備でお忙しいと思いますが、毎日でなくても結構ですので、学校での様子が伝わってくる学級だよりをこれからもよろしくお願い致します。

 実は、以前上のお子さんの担任をしておりました。
 そのときは、ある期間、少しばかり学級通信を出しておりました。
 このように受け止めて下さっていたことを始めて知りました。

6.話すこと、聞くこと

      「人の話をよく聞き、はっきりと話をする子」

 を目標に掲げました。
 人と人との関係をつなぐコミュニケーション能力はとても大切だと考えます。
 学年だより「みんな ともだち!」の№3でおしらせしたとおりです。

 低学年で身につけさせるべき「話すこと・聞くこと」の力は、次のようになっています。

〇経験したことなどについて、事柄の順序を考えながら話す。
〇大事なことを落とさないように聞くことができる。
〇話し合おうとする態度を育てる。                       学習指導要領国語篇より

 これを踏まえて、お子さんが家で話している様をシミュレーションしてみます。

はじめにね、〇〇ちゃんが先生につかまったの。
次の△△ちゃんは、教室を逃げまわったの。みんな大笑い。
さいごにね、先生が一人ずつ呼んでブザーを渡してくれたの。

ブザーはね、
ランドセルにつけるの。いたずらで鳴らしてはいけないんだよ。       

 順序を考えながら話す。(はじめに、次に、さいごに、という言葉を使うこと)
 大事なことを落とさないで、聞いている。
 そして、進んで話をしてくれる。

 このようにお子さんが話してくれたら、目標は達成です。
 家で話せたら、ちょっと頑張って学校でもみんなの前で話せるのでは、と考えます。
 身近な人に話せないのに、大勢の前で話せる、そんなことはありません。

 まずは、うちの人に今日の事や自分の思っていることが話せる。
 これが大事です。
 そして、先生やクラスのみんなに話せる。
 これを目指したいと思います。

□「学校は勉強を教えるところ。家庭はしつけをするところ」などと聞きます。
 それぞれに役割はありますが、線引きをして分担するかのような考えには私は賛同しません。

 勉強でもしつけでも考えの共通する部分は、双方で取組んだ方がいいです。
 その方が、良い子が育ちます。

 この学級だよりが親子の会話が始まる材料となるのであれば、
それなりに努めなければと思えてきます。
 また、担任と家庭との考え方のすり合わせをする場にもできるでしょう。

 優柔不断なところがありますから、どこまで(発行が)続くかお約束はできませんけど。

第3号 4月19日発行より

7.話をしたくなるのは

Ri-せん

先生から防犯ブザーをもらった話を、うちの人にしましたか?                

□こう投げかけて、挙手をしたのは3人でした。(とても偉いですね。)
 どのように話をしたのか、聞いてみました。
 一生懸命話をしてくれましたが、よく分かりませんでした。(ゴメンなさい)

はじめにね、〇〇ちゃんが先生につかまったの。
次の△△ちゃんは、教室を逃げまわったの。みんな大笑い。
さいごにね、先生が一人ずつ呼んでブザーを渡してくれたの。

ブザーはね、
ランドセルにつけるの。いたずらで鳴らしてはいけないんだよ。       

 このように話したのではないことは分かりました。

□子ども達の自由(話したい気分)に任せていると、変化はないと思われます。
 そこで、担任からも学校の様子を話すように投げかけてみます。
 うちの人に話したくなるような授業をしないといけませんね。やぶへびでした。

□ある「おたよりノート」に、お子さんの様子が連絡に添えてありました。
 今日はじめて手を挙げてこんなことを発表をしたよ、と話してくれたというのです。

 入学して以来、初めてそのお子さんが挙手をしたシーンを今も鮮やかに思い出せます。
 大勢の手が挙がっている中、指名すべきはそのお子さんだと直感し、指しました。

 「自分もみんなの前で発言するんだ」と心に決めていたのでしょう。
 うちの人から「がんばろうね」と励まされていたのかもしれません。
 そのときが訪れたわけです。

1年生の4月 

 自らのめあてを達成し、うちの人の期待にも応えられました。
 すばらしい自己の変容の日になったのです。話したくもなりますよ、これは。
 いっぱいほめてもらいたい気分だったでしょう。(きっとそうされたと思います。)

7.話をしたくなるのは

□ここまで書き進めていて、話をしたくなる一つの側面が浮かんできました。
 
      共感してもらえるかどうか。

 楽しいと思ったこと、辛かったこと、がんばったこと、そうしたことに共感して欲しい。
 だから、話したくなる。
 共感を必要としない話は「報告」です。家で報告なんてしたくないんです。

はじめにね、〇〇ちゃんが先生につかまったの。
次の△△ちゃんは、教室を逃げまわったの。みんな大笑い。         

へぇー。その劇、わたしも見てみたかったわぁ。楽しかったのねぇ。            

 ・話をしたくなるのは、共感してもらいたいことがあるとき
 ・自分の話をきちんと受け止めてもらえると思えるとき(共感してもらえる時)

 と、ひとまずまとめてみました。

□朝休みのことです。
 話しかけてきてくれた子どもがいました。

       せんせい、あのね。お休みにディズニーランドに行ったんだよ。
       ぼくはね、とうきょうに行ってきたの。

 こんなことを書いておきながら、片手間で聞いてしまっていました。(深く反省。)


※つづく