授業づくりは、大変です。
この記事が現場のお役に立てたら幸いです。
1.燃やし続けるには ・よく燃えるわけ ・新しい空気とは
2.空気の成分(グラフ)の見せ方 ・気体の話
3.石灰水の登場
4.実験手順を理解させる ・代表にさせてみる
5.結果・考察
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1.燃やし続けるには?
子ども達を授業に引き込むには、どうするか?
教室に入る直前まで考えています。
よく使う手は、画像を提示して授業を始める方法です。
スクリーンに映し出すだけで、子ども達はそちらに集中します。
映した後、どうするか?
2つ案が浮かびます。
A案:教師が前回の授業内容をささっと話してしまう。
先週は〇〇をしましたね、などというように。
B案:子どもに言わせる。例えば全員を起立させてから
「この実験の結果を言える人は座りましょう。」と投げかける。
→ 指名して言わせる。
教室に入って、子どもの表情を読んで決めました。
A案にしました。
B案では授業がもたつく、そんな感じがしたからです。
さっそく、投げかけます。
ふたをすると、火は消えてしまいました。なぜ消えたのでしょうか?
びんの中の空気が古くなったからだ、という考えが出されましたね。
では、逆に燃やし続けるにはどうしたらいいでしょうか。
すぐに反応がありました。
新しい空気が入るようにすればいいので、ふたをしなければいいです。
そうですよね。ふたをしなければ空気が入っていきます。
その、空気が入っていく様子を見るには、線香の煙を使うといいですよ。
図1を提示します。
線香の煙がどうなるか発言を求めると
煙がびんの中へ入っていく、と返ってきました。
ではこれはどうでしょうか、と言って図2を出します。
底のない集気びんです。
子ども達は、
下のすき間から煙が入っていくと言います。
さっそく、1⃣ と 2⃣ について実験しました。
1⃣ も 2⃣も、びんの中へと煙が入っていきました。
ろうそくは燃え続けました。
この結果から、燃え続けるには新しい空気と入替ることが必要であるとおさえました。
よく燃えるわけ
ところで、
1⃣と2⃣では、どちらがよく燃えますか?
2⃣です。
その理由を子ども達が説明します。
C: 1⃣ は、空気の入口と出口が一緒。
空気は入れ替わりにくい。
C: 2⃣ は、下から入った空気は、流れるようにして上へ出ていくので、
空気の入れ替りがスムーズ。
だから、よく燃えるのは2⃣です。
いい説明でした。空気の入れ替りのしやすさですね。
と、返してから「こうしたらどうか。」と投げかけて図を提示します。
T: びんの口の方に線香を持って行ったら、煙はどうなると思いますか?
煙はびんに入っていきません、と子ども達。
ではなぜ、煙はびんの口から入っていかないのか。
線香の煙で確かめたとおりです。
すでに空気の流れが出来ているからです。
下から入って上から出ていくという一方通行です。
では、なぜこの流れができるのか?
「温められた空気は上へいくから。」と話した子どもがいました。
この理由の説明は難しそうです。
こちらで話してしまいました。
なぜ上へ?
空気には重さがあることを知らせます。(実感が持てませんが。)
空気を温めると体積が増えることを確認します。
これは4年生で習っています。
同じ体積で比べると、
温められた空気は、体積が増えた分だけ軽くなっていますよね。だから上へいくのです。
びんにふたをしなければ、
新しい空気が入り、古い空気と入れ替わって、燃え続けることが分かりました。
そこで新しい空気と古い空気は何が違うのかへと授業を進めていきます。
新しい空気とは?
二日間あいての理科授業です。
振り返りを必ず入れて始めていきます。
子ども達は、すっかり忘れています。家庭でリセットされて学校へやってきています。
こんな実験をしましたね、と言いつつやって見せていきます。
① 火が消えたろうそくを集気びんから出して、
② 火を点けて再び入れます。
火の点いたろうそくは一瞬にして消えました。
その理由を問います。
集気びんの中の空気は、一度燃えて使われてたので古くなっています。
ろうそくが燃えるには新しい空気が必要です。
今、「新しい空気」と言ってくれましたが、
新しい空気と燃えた後の空気では、何が違うのでしょうか。
ろうそくが燃える前と後の空気は、何がちがうのだろうか?
と板書し、話を続けます。
授業の仕方としては、子ども達に振って活躍させることもできます。
が、教師主導で進めます。
2.空気の成分(グラフの見せ方)
空気の成分については、しっかりとおさえなくてはいけない。
この指導の部分だけで15分ほど時間を要する。
空気は、様々な気体が混ざったものでできています。
その成分を見て見ましょう。教科書の円グラフです。
割合の最も多い気体に指をおかせます。窒素です。
置いたらお隣さんの指を見るように言います。
自分と同じならOK!
指を置いていなかったり、違っていたりしたら注意し合うように言います。
T: 二番目に割合の多い気体は何ですか?
C: 酸素です。
3番目に多い気体を問うと、「二酸化炭素」と返ってきますので
Booo!と間違いブザーを(口で)鳴らします。
グラフは3番目がそれであるかのように思えますが、違います。
説明します。
割合の多い順で3番目は、アルゴンです。
1%に少し足りないくらいです。 (0.93%)
ちょっとだけアルゴン!
ダジャレを言う子どもがいて、教室は笑いに包まれます。
ミニ知識として、
アルゴンは電球の中に入れる気体の一つであることを伝えます。
アルゴンは何の反応もしないことからギリシャ語で「怠け者」という意味だそうですが、
からかいに使われそうなので、伏せときます。 アルゴン – Google 検索
酸素はもちろん、
窒素や二酸化炭素は、耳にしたことがある気体ですが、少し説明をしていきました。
気体の話
窒素について、知っている子どもはまずいません。
かく言う私も似たようなものですので、調べます。素材研究です。
それで分かったことを話していきます。
T:ポテトチップスの袋はふくらんでいますが、ここに窒素が使われているんです。
中身がつぶれないようにするためだけでなく、おいしさを保つためもあるそうです。
T:お茶のペットボトルを開けるとき、プシュっと音がしますね。それも窒素です。
T:窒素は、冷凍食品をつくるのにも使われます。
液体窒素は-196℃もあって、瞬時に凍ってしまいます。
ほかにもいろいろと用途があるので調べてみましょう。
次に、二酸化炭素です。
二酸化炭素は、無色透明の気体です。でも、見たことはあるでしょう?
炭酸の飲み物のシュワーと出てくる泡が二酸化炭素です。
ケーキを買ったときついてくるドライアイスもそうです。
T:ドライアイスは、元は「乾いた氷」という商品名だったそうです。
T:ー78.5℃ととても低い温度です。
アイスクリームを溶かさずに運ぶのに使われたということです。
二酸化炭素は空気の成分割合からすると4番目で、その値は約0.04% 。
ほとんどない、といってもよい割合であることを伝えます。
すると手が挙がりました。発言したいようです。
二酸化炭素は、ニュースでよく耳にします。
増えないようにする取り組みが盛んになっているようです。
ナイスな発言です。
これから学ぶ単元で、二酸化炭素がでてくることを話します。
空気の成分グラフは、大きさを指定してノートに写させます。
直径5,6cmくらいで描くように指示します。
3.石灰水の登場
子ども達がグラフを書いている間に、
次の準備をします。
石灰水、エアーポンプ、CO2ボンベを教卓に出して完了。
T:二酸化炭素があるかは、これで調べられます。
石灰水と言います。
見た目で言いましょう、どんな液体ですか?
普通の水みたい、と子ども達は言います。
そこで、無色・透明という言葉を教えました。
説明を続けます。
T:石灰水の入ったビーカーに空気を送ってみます。
あれま。・・・何も起こりません。
T:こういうのを「反応なし」といいます。
これは、二酸化炭素の入っているボンベです。
石灰水の中でブクブクとやってみます。どうなるでしょうか。
T:おお!・・・白く濁りましたね。
C:牛乳みたい。
T:そう。おいしいっ、て飲んではいけません。
二酸化炭素に触れると石灰水は白く濁ります。
白く濁ることを「白濁」と言います。
次に、石灰水を使って実験をしていくことにします。
ろうそくが燃えた後のびんの中の二酸化炭素が増えていることを確かめます。
4.実験手順
教科書を開かせて、問います。
T:何を調べる実験ですか?
C:ろうそくが燃える前と後の空気は何が違うかを調べます。
T:実験で使うものを読みましょう。 さん、はい。
声を揃えて音読させたのは、子ども達を受け身の状態のままにさせないためです。
ろうそく、集気びん、ふた、燃焼さじ、マッチ、燃えさし入れ、石灰水、と挙げていきます。
安全メガネを使うことについては説明をしておきます。(略)
実験の手順①に指を置きましょう。 ハイ、お隣の指を見る!
二人とも置いていたら教科書を持って立ちましょう。
手順①と②、「注意」まで音読するよう指示します。
読み終えたら着席し、同じところを黙読するようにします。
音読は、隣の人が聞き取れるくらいの声の大きさで、と付け加えます。
半数近くが座ったら、数人を指名して読ませます。
子ども達は手順を自分で読み、
人が読むのを聞くことになるので、合計2回頭に入れたことになります。
手順の確認
実験の手順を読んだだけでは、イメージできていない子どももいます。
そこで、代表にやらせてみます。
火は点けません。
ものは持ちますが、身振り手振りでよいことにします。
今読んだところを、DさんとFさんにやってみせてもらいましょう。
前に出て来てください。 どっちが先にしますか?
Dさんが先にすることになりました。
みんなに見られているせいもあって戸惑いがち。
授業者は脇に立ち、助言をします。 全力でDさんを支えます。
石灰水を入れた集気びんを振る時は一時ストップ。
こつがあるので、こちらでやって見せます。
Fさんは、Dさんがするのを見ていたのでスムーズにできました。
代表の二人がしているのを見て、実験の要領がつかめました。
DさんとFさんには労をねぎらう意味で拍手を送らせます。
これで実験に移る準備が整いました。
※実験の様子は割愛します。
5.結果・考察
ろうそくが燃えた後、石灰水は白く濁りました。
この結果から考えたこと(考察)をノートに書かせます。
見て回ると
燃えた後は、二酸化炭素ができている、と子ども達は書いていました。
教科書の記述は、「増えている」です。
この表現の違いについて子どもに問います。
教科書は「増えている」と書いていますが、どういうことですか?
火の点いたろうそくを入れる前のびんの中は、大気と同じです。
ですから僅かながら二酸化炭素はあるのです。
燃えた後は、石灰水が白濁する程度に増えたわけです。
ろうそくが燃えた結果、新たに二酸化炭素ができたのですから「できた」と表現してもいいかもしれません。
ろうそくが燃えた後には二酸化炭素が増えていることが分かりました。
ここで、疑問に思ったこと、問題にしたいことが浮かんできましたか?
この「問題をみつける」というのは、子ども達にとっては難しいようです。
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