「電気と私たちの生活1」の続きです。
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はじめに
卒業を間近にした時期の6年生ですが、
未だ「世の中」の動きや仕組みには大して関心をもっていません。
ニュースも見ませんし、新聞も読んでいません。(本校の実態です。)
そんな子ども達に、世の中の動きに目を向けさせたい、と思いました。
スイッチを入れたいと思いました。
例えば、SDGs。(昨今では冷めたような響きがしますが。)
持続可能な社会に向けた取組みは、大人達だけが考え進めていくものではありません。
自分達(子ども達)にも求められている問題であることに気づかせていく、
そんなねらいをもってこの単元の授業をしたいと思います。
この単元の名称、
「電気と私たちの生活」はまさにそういうところからつけられている、と考えます。
板書
授業は「黒部ダム」を取っ掛かりとして始まりました。
「発電」に関心を持たせるところまで進みました。
その後の授業は「発電の方法」を挙げさせ、
「電気をつくる」ことへと進めていきます。
板書は左図のようになります。
次の3つの内容をつないでいきます。
・発電量の多い発電方法は何か?
・発電の事始め(雑学)
・発電機を使っていること
以下はその授業シナリオです。
発電の方法
子ども達は、家電の普及とともに電力の需要が高まったことを理解しました。
ここで投げかけます。
黒部ダムでは水力発電が行われています。
ほかにどんな発電方法があるか言いましょう。
次の5つの発電方法は、あっさりと出ました。
その図を見せながら、発問をします。
現在の日本では、どの方法がより多く電気をつくっているでしょうか?
3,4人に言ってもらってから、全員に手を挙げてもらいます。
それから円グラフを見せます。
T:円グラフを見て、分かったことを言って行きましょう。
思ったことでもOKですよ。
C:最も多いのが火力発電です。
C:7割が火力です。
C:火力ということは、何を燃やしているのかな。
ナイス疑問ですね。
何を燃やしているか、Aさんから言ってみよう。
列指名で当てていきましたが、知らないようです。
T:石炭やLNGを燃料として使っています。
これが石炭です。
(あれば、見せます。)
LNGというのは、「液化天然ガス」のことです。
(カッコつけて)Liquefied Natural Gas!
無色透明の液体です。
T:LNGによる発電は石炭よりクリーンと言われています。
が、今は値段が高くなってしまっているので、
2021年10月以降は石炭が多くなっています。
それで、世界から日本は批判されています。
なぜでしょう?
それって、温暖化に関係している話ですか?
二酸化炭素を出さない世界の動きと反対なことをしているからだよ。
二人とも、よく知っているなぁ。
それについては、「人と環境」で勉強しましょう。
我が国のエネルギー事情にさらりと触れ、次に行きます。
雑学 (うんちくを傾ける)
ここの部分は、カットしてもいいのかもしれません。
が、単元名が「電気と私たちの生活」です。
発電にまつわる歴史にちょっと触れてみました。
ところで、
日本で一番最初の発電方法は何だと思いますか?
子ども達の多くは「水力発電」と予想しました。
違います。
T:火力発電所でした。
1887年(明治20)東京(南茅場町)に設置されました。
石炭火力です。
なぜか分かりますよね?
水力に比べて簡単に電気が作れるからです。
ダムを造って発電となると時間もお金も大変ですからね。
T:その電気は、どういうことに使ったのでしょうか?
C:明かり(電灯)だと思います。
だってそれ以外に電気製品は1つもない頃じゃん。
T:社会科でこの絵を見ましたね。
ガス灯ではありませんよ。
C:アーク灯、というんでしたっけ。
T:そうです。
ここから電気を使う生活が始まりました。
日本初 発電 – Google 検索
電気の歴史(日本の電気事業と社会) - 電気事業について | 電気事業連合会 (fepc.or.jp)
T:ちなみに、水力発電の始まりは1891年(京都)です。
日本初 水力発電 – Google 検索
雑学的な話はここまで。
いよいよ、6年生の学習内容に入っていきます。
共通点を問う
下図を提示して投げかけます。
火力、水力、原子力、そして風力による発電の絵ですが、
この4つの発電方法に共通することは、何でしょうか?
しーん、としてしまいました。
難しいようです。
そこで、「教科書は強い味方ですよねぇ」とつぶやきます。
これは、教科書を見ると分かりますよ、というサジェスション(暗示)です。
火力、水力、風力の3つに共通しているのは、いずれも発電機を使っている点でした。
どの発電にも使われていることがイラストを見ると気が付きます。
「火力発電のしくみ」という図にある「発電機」に指を置かせます。
「原子力発電のしくみ」、「水力発電のしくみ」でも同様に指を置かせます。
では、火力、水力、原子力の3つに共通することは?
タービンです。
タービンって?
タービンの写真(教科書)に指を置かせます。
そして、問います。
「タービン」って何ですか。話してください。
順番に当てていきます。
前列の6人全員が「説明できません。」「無理!」というのでこちらから説明します。
聞いたことがある言葉でも説明できないことはあります。
よく分かっていないために言葉にならないのです。
タービンは、水や空気などの流れるものを回転運動に変えるもの。
発電機は、読んで字のごとし。電気をつくる機械です。
逆の問いとして、
発電機を使わない発電方法を問うことも考えられますが、
授業の流れが太陽光発電に行ってしまう恐れがありますので止めておきます。
授業は、「発電機」を軸にして展開していくことにします。
発電機のしくみはモーターと同じ
黒板に「1.電気をつくる」とタイトルを書きます。
続けて「発電機」と書きます。
そして、投げかけます。
発電機は、磁石と電磁石(コイル)でできています。 それは、
みなさんが知っているあるものと同じですが、何だと思いますか?
モーターですか?
モーターの中には磁石と電磁石があって軸を回転させる仕組みでした。
よく分かったね。すごいすごい。
(とほめつつ 「発電機=モーター」 と板書)
ところで、電磁石とはどういうものか、3つくらい言えますよね?
忘れていい (心地よい緊張感をもって授業を進める)
授業には心地よい緊張感が漂っているといい、と思います。
そのための一方法の紹介です。
教室の空気が淀んできたように感じたので、手を打ちます。
「全員起立」と指示します。
子ども達が立ったところで問題を出します。
T:電磁石とはどういうものか、3つ言える人は座りましょう。
このようにすると、
言えない子どもは、座れません。
立ちっぱなしにさせてはいけません。
即座に、明るく言います。
誰でも忘れることはあります。忘れていいんです。
答えを聞けばきっと思い出しますよ。さあ、座りましょう。
全員が座りました。その中に
当てて! という顔をしている子どもがいます。
その子ども達に活躍してもらいます。授業の進行をスムーズにするためです。
単なる復習ですから。
復習 (電磁石とは?)
電流が流れたとき、磁石なるのが電磁石です。
あと二つ言っていいですか?
一つは、電流の向きを変えると極が変わる事。
もう一つは、電流を強くすると磁力が大きくなる事です。
このおさらいは、「手回し発電機」の授業の布石という位置づけです。
二人の発言は小黒板に板書します。
ノートにも書いておくように全員に指示します。
※小黒板とは、45×60cmのべニア板に黒板塗料を塗った手作りの教具です。私物。
ノートにメモしておきましたね?
念を入れます。
T:お隣さんに「ほら~」と言ってノートを見せましょう。
子ども達:ほら~ (笑)
同じ発想ができれば・・・
ノートを見せあっているうちに、授業者は次の準備です。
机の下からモーターを取り出します。
電池につないでプロペラを勢いよく回します。
ノートから顔を上げた子ども達が、その様子を見はじめました。
ある人は、モーターが回るのを見てあることに気が付きました。
それは、どういうことだと思いますか?
同じ発想ができれば天才! ・・・かもしれません。
電気でモーターは回るけど、その逆で
モーターを回せば、電気がつくれるかもしれない! ですか? 先生。
すばらしい! あなたは天才!・・・・・かもしれません。(笑)
子ども達をほめながら授業を進めると、教室が明るくなります。
話が続きました。
これから手を動かす活動に入っていきます。
それでは、みなさんお待たせしました。
これから電気をつくってみましょう。 ・・・それは、簡単ですよね。
頭を指しながら、
「ここを使えばすぐ電気ができますよね」
と言いつつ、下敷きを取り出します。
ぽかん、としている子ども達。
T:髪の毛がくっつきました。これは、静電気です。
冬は、バチっとしていやなものですが、これも電気。
静電気という名前のとおり、動かない状態の電気で、流れません。
みなさんがこれからつくるのは流れる電気です。
モーターを発電機として使って電気を作ってみましょう。
道具を取り出し、演示を始めます。
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