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朝会、始業式も「授業」です  

全校の児童が一堂に会することがあります。
朝会です。
その際に進行役を務めるのが教務です。

入学式卒業式でも教務は司会をします。
学校によっては、教務ではない方がされているのかもしれません。

月に何度かある朝会
学期ごとにある始業式や、終業式
それらを授業の一環としてとらえ、記事にしてみました。

少しでも現場の方々の参考になりましたら、幸いです。

内容

1.朝会を通して身につけさせる
2.終業式(始業式)では学校の一員としての自覚を → Jump there.
3.入学式は、開式前に指導することがポイント → Jump there.

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1.朝会を通して身につけさせる

放送の準備は、自分でしてしまいます。

分掌上で放送担当となっている職員もいるのですが、彼とて学級担任。
忙しいのです。あてにしてはいけません。

真っ先に校庭に出て、子ども達が出てくるのを待ちます。
体育館で行う場合も同じです。

最初のクラスが校庭に出てきました。

本校の場合、「背の順」で並びます。
まん中あたりの何人かがおしゃべりをしているので、列に入っていきます。

手にしたマイクをその中心の子どもに向けて話しかけます。
まずは、「おはようございます。」と朝の挨拶をしてから、問います。

Ri-せん

これから朝会が始まりますが、全校が集まるまで
ちょっと時間がかかります。どのように待ったらいいですか?         

突然マイクを向けられて、びっくりしたのかその子は黙ってしまいました。
そこで、隣の子に向けます。
やっぱり黙っているので次々にマイクを向けていくと、ようやく現れます。
期待することを言ってくれる子が。

静かにしています。          

その子どもをきっかけとして、同じような言葉が返ってきます。

「おしゃべりしないで待っています。」
「話をしてはいけません。」
「きちんと整列して待ちます。」

当然ながら、
並んでいた子ども達も、
後から校庭で出てきた子ども達も、その言葉が耳に入ります。
そして、その通りにします。

何百人が集まっている校庭は、粛然とした状態となり、
朝会はいつでも始められるスタンバイ状態となりました。


   これをしないとどういうことになるか?

校庭に出てきた子ども達は、無法状態です。
学級担任から指導を受けてないと思われるほど、おしゃべりのし放題。
中には砂のかけっこをし出すやんちゃ君もいたりします。

そうなると、
数百人によるざわざわとした状態を静かにさせることから朝会を始めることになります。
司会進行としては、神経をすり減らす思いでここを乗り切らねばなりません。


子ども達につけたいのは、
大勢の人が集まった時の、身の処し方です。

    静かにして始まりを待つ。

年度初めからこの習慣をつけさせるようにしていくと学校が変わります。

朝会ばかりではありません。
避難訓練の際も、
突然の地震で、校庭に全校避難となっても、
集まったときは、おしゃべりをやめて指示を待つ。そういう校風になっていきます。

そのような育ちをしたら、
全体の事をも考える、分別ある人になっていくのだろうと思います。
それは願望でもあります。

ですから、
指導をする場と捉えれば、朝会も「授業」です。

指導の徹底をはかる

前段の記事について補足します。

   朝会の始まる前は、おしゃべりをしないで静かにして待っている。

その指導を
はじめに校庭に出てきたクラスに行うというものでした。

「話を止めましょう。」などと注意を与えることなく朝会は始められます。
が、後から校庭に出てきたクラスは、
「おしゃべりはしてはいけない」という雰囲気に合わせているだけ、
とも考えられます。

そこで、徹底をはかります。

全クラスが集まり終えたところで投げかけます。

Ri-せん

校庭に一番に出てきたクラスに聞きました。
全校が揃うまでどのように待ちますか、って。

そうしたら「静かに、おしゃべりをしないで待ちます」と言いました。
感心しました。
すばらしいことが言えるクラスだと思いました。

このことは、朝会だけでなく、避難訓練や集会など
大勢が集まっているときは、どうすべきか考えて欲しいと思います。   

2.終業式 (始業式も同じ。学校の一員としての自覚をさせる場)

年度初めから朝会に臨む態度を指導していきました。
今日は、学期の最終日で終業式です。

9時と定められた時刻の10分前くらいから子ども達が校庭に集まってきます。
明日から夏休み。
じりじりと照り付ける陽射しの下、気持ちが緩んでいるのか私語も聞こえてきます。

いつもと同じ問いかけでは、芸がありません。
「またそれ?」と、子ども達からも愛想をつかされてしまいます。

そこで、ひらめきました。
さっそく、おしゃべりをしている列の中へマイクを持って行きます。

Ri-せん

暑いですね。
そんな中、みんな集まり始めてますが、これから何が始まるんですか?        

案外、答えられません。
数人にマイクを向けていると、「終業式です。」と返ってきました。

       お、答える人が現われました。大正解。すごいすごい。
       ところで、終業式って何なんですか?

このやりとりはマイクを通してなされていますから、みんな聞いています。
そうか、これから終業式をするんだったと初めて認識する子もいるはずです。

試しに、何人かに聞いてみます。

   終業式とは何ですか?

答えられる子どもはいません。

子ども達の前に立っている担任達に同じ問いでマイクを向けてもいいのですが、
困ってしまう先生もいるでしょう。しません。

子ども達には、「1学期の学びをしめくくる式」と一応返しておきますが、
突っ込まれた場合の答えは用意しておきます。

始業式を含め、終業式をするねらいは、
一言でいうと、
〇〇小学校の一人であるという自覚を持たせること、です。

始業式をもって、その学校の一員であることを意識させ、
終業式をもって、その学校の一員として地域に還って生活するようにさせます。

学校から一歩出れば、
社会的には、〇〇小学校の子どもという肩書になるわけです。
その意味をわきまえて生活してほしいわけです。

何に重きを置いて学んでいるのか、どんな子どもになってほしいのか。
その思いに包まれていることに気づかせ、家庭に戻す。それが終業式です。
その逆が始業式です。
式次第の中に校歌斉唱があるのはそのためです。

このねらいからすると、
終業式は、休業前に学校の一員であることを自覚する行事、と表現する方がいいかもしれません。

学校からなくしたいものとして、始業式・終業式がネット上で散見されますが、
全校児童が一堂に会して行う、集団の中の自己を確認しあう場はここでしかできません。

3.入学式 (始まる前に指導すること)

いや~、今年の1年生はちゃんとしていますねぇ。
おめでとう、と言ったら「ありがとうございます。」って返して、
すばらしいです。ホントに感心しました。

入学式にお招きした来賓の方が口々に言っていましたが、ウラがあるのです。
自然にそうなったのではありません。
ちゃんと裏話が存在するのです。

本校の場合、
入学してくる出身の幼稚園・保育園はいくつもあって、園の指導もそれぞれです。

入学式で「おめでとう」と言われたら、どう返すか教える園もあれば、
何にもしないで送り出す園もあるでしょう。

新入生の全員が揃って「ありがとうございます。」と返すのは有り得ないことです。
直前に指導があるからそのようになったわけです。
ひょっとしたら、
新一年生をほめていたその方々は、分かっていて感想を述べられたのかもしれません。

入学式の進行司会は教務の仕事です。
親御さんにしてみれば、学校生活の始まりの日。
その式を、ある程度の厳かな緊張感ある空気の中で整然と、
そして思わずにっこりとしてしまうような場面も演出できたら、と考えます。

避けたいのは、このような光景です。
・腰掛けた椅子が高いので、足をばたばたさせている。
・登壇した来賓の「おめでとう」という言葉に反応しない。
・粗相をしてしまう。
・おしゃべりをする。

そこで、式が始まる前に指導をします。

Ri-せん

これから入学式が始まりますが、先生から皆さんにお願いがあります。
聞いてくれますか?  (はい、という返事)

1つ目。今座っている椅子はちょっと高いでしょう。
足をぶらぶらさせないで座っていられるとかっこいいと思います。
できるかな?

2つ目はお返事です。
いろんな人が「ご入学おめでとうございます。」と言ってくれます。
そうしたら「ありがとうございます。」と言いましょう。
ちょっと練習してみましょうか。さん、ハイ。

3つ目。 
もしも、トイレに行きたくなったり、困ったりしたら、
そっと手を挙げて教えてください。

最後。
お話はしません。静かに座ってお話を聞いていましょう。

足はぶらぶらさせない。
おめでとうと言われたら「ありがとうございます。」
何か困ったら手を挙げる。

先生からのお願い、だいじょうぶですか?
(はい、という返事)
えらいなぁ、今年の1年生はとても優秀ですね。

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