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「答え」の予言  算数専科の授業デビュー  

「たす数」がまだ分からないのに、「たし算」の答えを予言してみせる。
「算数って、おもしろい!」ってなると思います。

はじめに

この活動について知ったのは、
研数学館が開催する「算数・数学講演会」でのことです。2011年~2015年の頃だったと思います。

その際に学んだことを授業シナリオにしてみました。
実際にその授業も行っています。

先生方のお役に立てたら幸いです。

同セミナーの講師の先生方には授業づくりに大変役立つお話をたくさんいただいておりました。
この場をお借りして感謝申し上げます。
                  研数学館のセミナーはこちら 一般財団法人 研数学館 (kensu.or.jp)

この授業の対象は、5年生以上が適当と思われます。

大きな数でたし算をします。
たす数は4桁か5桁で、見取り算のように縦に4つ並んでいます。その筆算です。

小学校では3位数までしか扱いません。
しかも2つの数の計算ですので、子ども達にとっては初めての学習体験となると思います。

15分程度の内容です。
学期はじめの、算数学習の「デモンストレーション」としてされるとよいと思われます。
以下は、そうした場面の設定で書かれています。

予言する前

新しい年度が始まりました。
その最初の授業です。

Ri-せん

今日は、授業の初めですから、教科書の勉強を進める前に先生が
算数を使った「予言」をしてみせましょう。 
協力をしてくれる人、居ますか?                             

突然、「予言してみせる」と言われても子ども達は何のことか分かりません。
ぽかんとしています。
「協力して!」と頼みましたが、誰も名乗り出ません。

それでも構わずに、続けます。

Ri-せん

ここに0~9まで10枚の数字カードがあります。
この中から好きな数字を5つ選んでもらいます。 Aさんお願いします。                       

1枚ずつ、カードを貼ってもらいました。

54980

これを一つの数とみることにして、5桁の数を板書します。

筆算

ここから予言を始めます。

Ri-せん

この数にある数をたしていくのですが、計算する前に
その答えを予言します。 今からそれを紙に書きます。            

ちょっと考えます。
・・・予言する数が浮かびました。「254978」です。

子ども達からは見えないように書いていきます。

予言を書いた短冊は、伏せた状態にして黒板の隅に貼りました。

筆算

たす数がまだ分からないのになぜ、答え(予言)が「254978」となるのか。
後に分かります。

たす数を書いてもらう

T: 「54980」たされる数です。
   たす数も同じ5桁にしましょう。 Bさん、どうぞ。

Bさんは、数字を1つずつ言っていきました。
70613」と書きます。

Ri-せん

先生も5桁の数を書きます。
う~ん、何にしようかなぁ・・・「29386」にしましょう。                  

筆算は、3行の式になりました。
続けます。

次に指名されたCさんは、
同じ数字を使ってもいいか尋ねてから、たす数を「88056」にしました。

筆算

最後に
おまじないです」と言いながら
11943」と書くと筆算の式ができました。

これを数人を指名し、黒板でさせます。
他の子どもはノートに計算させます。

繰り返すようですが、
このような5桁の、しかも5行の筆算は子ども達にとっては初めてのことだと思います。
丁寧に計算を進めないと、ミスります。

答えは4人とも一致。
254978」になりました。

筆算

なぜ予言は当たった?

予言は当たっているでしょうか?

T: では、予言を見てみましょう。
   当たっていたら、拍手。 先生の予言はすごい、ということです。(笑)

場を盛り上げるポイントがあります。
少しずつ紙をずらして、左端の位から見せていきました。

Ri-せん

254978。 おお! 見事予言どおり。 みなさん拍手!
・・・ところで、なぜ当てることができたのでしょうか?

ここからシンキングタイムです。
なぜ予言ができたのか?

筆算

先生が2回も数を加えたところが怪しい
と子ども達が言いました。

さすがですね。
と言ってその数にラインを引きました。

Ri-せん

黄色のラインの所をじーっと見ているとあることに気が付きますよ。
ヒントは・・・言いましょうか? 数字の「9」です。 

気が付いた子がいました。

分かりました!
先生は上の数を見て、99999になるようにしているんです。

子ども

どういうこと?           

例えば・・・先生は「29386」と書いているね。
Bさんの書いた「70613」の3の下は「6」でしょ。
「1」の下は「8」。同じように
足して「9」になるようにしているんだよ。

3人の話し合いをほめます。
よくぞ見抜きました。拍手!
では、どのようにして予言の数を求めたのでしょうか?

これは、難しかったようです。
説明しました。

筆算

Bさんの数とたして99999になるようにします。
「99999」は、10万から1引いた数です。

Cさんのときも同じです。
「10万-1」になるようにしています。
それを2回足していることになります。つまり・・・

Aさんが書いた54980に20万を足して、そこから2を引いた数を予言の数にしたのです。

分かったような、分からないような顔をしています。
おなかにすとんと落ちるように納得させるためには、自分で予言をつくってみることです。

3桁の数で予言する場合をノートにさせてみるといいかもしれません。
はじめの数(たされる数)+(1000-1)と書いてあれば予言のしくみが分かったということです。

自学ノートに
さっそく家の人にやってみました、とあったら大いにほめます。