教務の仕事が、
大きく3つあるとすれば、その一つにPTA活動があります。
超がつく忙しさの中、
楽しく関わらせていただいたその活動について、振り返ってみました。
現場のお役に立つようなことがあれば、幸いに思います。
はじめに
1.休日も出勤! そんな教務を「寄与務」と言う →Jump there.
2.PTA総会に向けた 事務局「教務」の仕事
3.役員会議でも 休日出勤
4.市P連の活動でも →Jump there.
5.市P連の事務局となると・・・
6.働き過ぎの教務は 「虚無」感に陥る
7.体に異変 胸が・・・ →Jump there.
はじめに
公立小学校のPTA活動といえば、地域によって多少の違いはあるものの、
・子ども達の登下校の見守り、
・運動会などの学校行事のお手伝い、
・PTA会員の研修や広報、などといった活動は共通していて、
どこでも取り組まれているのではないだろうか。
そのような活動に対して報酬もなく、
子ども達のために熱心にしてくださるのは、とてもありがたいことだと思うのだが、
学級担任は、
そうしたPTAの活動については、実はあまり認識していない。
年度初めの、PTA役員の選出には関わるものの、よくは分かっていないのがフツーだ。
それでいい。
子ども達に学力をつける授業づくりに、学級づくりに邁進していただきたいと思う。
以下、述べるのはPTAと深く関わりを持つ、教務の仕事についてである。
1.休日も出勤! そんな教務を「寄与務(きよ む)」と言う
教務になると、PTA活動に関わるようになる。
根拠となるのは、PTA規約である。
教務は、PTAの学校事務局になっているのだ。
その仕事がどんなものか縷々述べていくが、
教務がすべき優先順位からすると授業、学校運営に続く3番目であるから、
後回しにしがちになって、退勤時間を過ぎてもなかなか取り掛かれない。
そうだ、
土曜にでも学校へ行って、まとめてやってしまおうか、
ということになって、休日出勤と相成るわけだ。
この出勤、
時間外勤務を命じられているわけではないので、代休などの措置はない。
そもそも、
教員は「時間外勤務が生じない」ように
勤務時間の割り振りをするようになっている。
資料5 教員の職務について:文部科学省 (mext.go.jp)
校務の具体的な範囲として、「資料5」によれば、
「PTAに関する仕事」も含まれているので、職務の一つであることは間違いないが、
絶対と言い切っていいほど、勤務時間内にPTA関係の仕事はできない。
仮に、
勤務時間の割り振りなどを申し出て、その都度考慮してもらっていたら、
その分は、確実に他の職員(先生方)がかぶることになるから、一遍に学校は回らなくなってしまう。
なんだよ、教務は休んでばかりいて。
などと言われかねない。
退勤時刻になっても帰宅せず、
午後の6時7時になっても打ち合わせだ、授業準備だと残っている職員を傍目に、自分ばかりが回復をとる。
心情からしてそんなことはできない。
教務は、
自分の時間の持ち出しでPTA活動に貢献し、寄与する。のである。
ここで、また言葉遊びをしてみたくなる。
教務(きょうむ)の音読みから 「寄与務(きよむ)」と漢字を当ててみるのだが、いかがか。
本題に戻る。
教務は、休日に出勤して何をしているのだろうか。
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2.PTA総会に向けて 休日出勤する
年度初めにPTA総会がある。
その用意をするのが、教務だ。
繰り返すが、
教務はその事務局(PTA書記)と位置づけられている。
だから、教務は総会の準備と運営にあたる。
総会資料は、ちょっとした厚さのある冊子だ。
その年度の役員名簿をはじめ、
決算書、予算案、活動計画など規約も含め30ページくらいある。
この資料を手元に置いてPTA総会の議事は進行する。
原稿は、
本部も作成するが、教務も作る。
原稿が上がってくると印刷が開始される。
原稿の1枚1枚をA3用紙に印刷していく。
その数850。(本校は、児童数900名を超える大規模校なのだ)
次に袋とじに折る。(これは自動紙折り機がある)
全てを折ったら、ページ順に組んでいき、ホッチキス止めをして冊子にしていく。
850部(PTA会員数)は相当のボリュームになる。
この印刷・製本の作業は、
本部役員さんがお手伝いしてくれる。もちろん、平日ではなく土日。
お仕事をもっていらっしゃる方々なので作業日は土日になるわけだ。
出来上がった総会資料は、各学級に家庭数で配られる。
1年1組 28部。
1年2組 25部、というように。
これが30学級近くあるから、その仕分けをするのもちょいと時間がかかる。
細かいことを書いて申し訳ないが、
この家庭数の把握というのも、やっかいで
担任が数え間違いをして報告していることがあって、しばらくの間は安定しない。
単に部数の問題というなかれ。
PTA家庭数は、PTA会費の集金と関係してくるし、PTAの上部組織とも関係してくる数字なのだ。
怪しい場合は、児童名簿で調べる。
兄弟関係が分かるので、一つひとつ確認したこともあった。
担任の報告よりも、教務(自分)が調べた方が正しかったりする。
こんな具合だから、勤務時間に仕事が終わるわけがない。
かくして、
教務になるとその日以降、
休日出勤はごく当たり前の働き方になっていく。
思い出したので、
ついでに書いておくと・・・
PTA総会の成立と決議には要件が定められていて、委任状を含め一定数の参加を必要とする。
その数の確認をするのがPTA事務局の教務の仕事だ。
子どもが担任に委任状を渡し、
担任がそれを教務が用意した回収Boxに入れ、
教務は毎日、その数を数えて札束のようにしていき、
総会の開会直前までのトータルを出して会場で「総会の成立」を報告していた。
些末な事だが、こんなことも教務の仕事だ。
更に追記すると、
全校の児童の氏名、住所、生年月日、保護者名、兄弟関係、等が分かる「児童名簿」は、
教務の作成だった。Excelで一人一人入力していた。
お陰でExcelの関数については、少し詳しくなった。
2010年代の後半になって、やーっと、ノート型のPCが支給となった。
個人持ちUSBの紛失、情報の流出等の問題が拍車をかけたのかもしれない。
学校管理ソフトの導入となって学籍から成績管理まで一元化されたので、各段に楽になった。
今の若い人は、そんな経緯を知る由もないであろう。
閑話休題。
3.役員会議で 休日出勤する
PTAの役員会議というのがある。
この会議に集まるのは、
PTA本部をはじめ、各クラスの学級委員、常置委員(厚生、広報、校外など)や地区委員さんたち。
その方々から活動報告や、学校行事のお手伝いの役割分担など、様々に打ち合わせがある。
開催日は土曜日。午前10時に開会だ。
仕事を持ってられる皆さんが集まれるのは、この曜日なのだ。
この役員会議は、年に5,6回開かれ、
学校から出席するのは、毎回学校長と教務の二人だ。
教頭も事務局の一人になっているが、不思議と毎回欠席である。
・・・。
校長と教務は、それよりも数時間前に学校に詰めている。
朝の8時には、学校に居る。
9時からP本部との打合わせがあるからだ。
それに、会場設営(椅子並べ)もある。
本部役員会議というのもある。
PTA会長以下、書記さん、会計さんが打ち合わせに来校される。
これも開催は、決まって土曜日である。
このようなPTA関係での休日出勤をトータルすると、年10日くらいにはなろうか。
市P連関係での休日出勤を加えると、20日ほどになる。
その市P連とは何か。
学校PTA(単P)の上部組織で、また集まりがあるのだ。
4.市P連の活動でも 休日出勤する
市PTA連絡協議会(略して、市P連)というのがある。
年に数回、研修会と活動報告会があって、
これも土曜日の午後。
市役所で開催される。
出席は、各学校の本部役員(P会長以下、数名)。
学校からは校長さんと教務が顔を出す。
午後の2時に始まり、4時頃には終わるのだが、
これが開催される土曜日の教務は、いつもと変わらず朝から出勤する。
滞っている仕事はPTA関係だけではないから、
午前中に片付けようと張り切るのだが、
終わらない。
その場合は、
市P連の会議が終了後、また学校に戻ってきて、
夜の7時、8時まですることもしばしばとなる。
夜も更けつつある中、
一人職員室で仕事をしている光景を思い浮かべてほしい。
この土曜は、朝から深夜まで丸々一日勤務となる。
唯一の楽しみは、朝に買い込んだお弁当くらいである。
5.市P連事務局となると 更に休日出勤となる
さらに教務の仕事が増えることがある。
巡り合わせ、というべきものかもしれない。
自校のPTA会長が、市P連の会長に選出される場合である。
会長の学校は、市P連の事務局となる。
事務局とは即ち、教務のことだから、仕事が増えることになる。
増えた分を減らす、という発想は学校にはない。
というより教育行政にないから、〇〇教育だの△△教育だのが次々に下りてくる。
そうしなくちゃいけない部分は分かるが、現場は溺れている。
市P連の事業として単P会長会、というのがあって
各学校のPTA会長は、ほぼ2か月に1回の割合で、集まる。
これが土曜日の午後3時から始まるのだが、
事務局は資料を作り、当日は事前の打ち合わせと会場設営のため午前中から準備にあたることになる。
5時過ぎに会議が終わると、お誘いがかかる。
親睦を深めようというわけだ。
飲み会である。
断ってもいいが、楽しくもある。
何しろ、P会長さん達のお仕事は様々。
学校とは別の世界の話が展開され見聞が広がる。
こんな日の土曜日は朝から深夜までの勤め(?)となる。
かくのごとく、
教務は身を削るようにしてPTA活動に寄与、貢献する。
時間外勤務にはならず、手当てもない。
その働きが評価されて云々(うんぬん)なんてこともない。
韻を踏み損ねている表現だが、教務は、やっぱり「寄与務(きよむ)」である。
6.働き過ぎの教務は、「虚無」感に陥る
その年のゴールデンウイークは、5日間お休みが連続だった。
5日間のうち、3日間を出勤した。
朝の8時から夜の8時近くまで学校で仕事をしないと回らなかった。
次の年、
やっぱり5月だったか、
3週間連続して土日のどちらも出勤して、全く休まない月があった。
そうまでしないと、学校が回せないのであった。
事務処理能力の問題、
と一言で片付けるのは待ってほしい。
とにかく守備範囲が広かった。広げすぎたというべきかもしれない。
例えば、
教頭さんが異動になって、
新しい教頭さんが赴任してくる。
着任早々だから、よく分からず手をつけないで放置していることがある。
それを指摘するよりやっちゃった方が早い。
些細なことでもある。
教頭の仕事の分まで教務がやってしまったりすると、
その親切心が仇になって自分の首を絞めることになる。
この仕事は教務さんがするのだ、という認識になってしまうというわけだ。
職員室にはいないほうがよい。
PCが使えなくなるから、それはできないのだが・・・
例えば、
職員室で仕事をしていると電話が鳴る。
地域から、
委員会から、保護者から、
業者からとこれが結構頻繁にかかってくる。
受話器をとったら最後、もう自分の仕事はできない。
伝言したり、その返事を返したり、書類を確認したり。
そっちにかかってしまうことになる。
(電話は事務さんが出るんじゃないの?といぶかる向きもあろうかと思うが、相応の事情があるのだ。)
電話だけではない。
来客があれば、応対に出て話を聞く。
具合が悪い、怪我をしたなどで子どもが職員室に送られてくる。
そうだ養護教諭は本日出張だった、と思い出して代わりに手当をする、相手をする。
ここには書けないような、突発的な出来事も起る。
そんな事でいっぱいだった日には、
今日一日、何をしていたのだろうかと虚しい思いにとらわれる。
虚無感に包まれる教務だから、 「 虚無 (きょ む)」 だ。
7.体に異変 胸が・・・
いつもと同じく土曜日の出勤。
正門を抜けて階段を上がっているとき、身体に異変。
「息切れ」というものを始めて経験した。
階段が上がれない。休み休みしながらでないと、上がれないのだった。
後で分かったことだが、
心不全がいつ起きてもおかしくない状況だったらしい。
働きすぎがこんな結果となって出てきた。
数年後、心房細動の治療で手術をした。
現在、教務職のみなさん、健康にはくれぐれもご注意を。
胸が「む?」となったら早めに医療機関へ。
「胸 むッ (きょう むッ) 」はシグナルです。
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