棒で正方形をつくって、横につなげていきます。
正方形がn個のとき、棒は何本か?
5年生に行った授業を元に、シナリオにしてみました。
現場の先生方のお役に立てたら幸いです。
授業の準備
① 四つ切の画用紙を1枚用意します。
横長になるように2枚にカットし、つなげて短冊状にします。
その画用紙に正方形を7つ書きます。(右図)
正方形が5つになるように、短冊の右端を折り返します。
2つ隠すのです。
その意図は後述します。
② 短冊黒板を用意します。(学校備品)
子ども達が考えた式を書くのに使います。
10~15枚くらいあるといいです。
③ 板書を決めておきます。
授業終了時の黒板を
ノートに書き、シミュレーションしておきます。
授業のはじまり
ちょっとしか見せないよ。
おもむろにそう言ってマスの書かれた画用紙をちらりと見せ、すぐに伏せてしまいます。
T:何が書いてあったでしょう。
C:えっ?
C:マス目がいくつか書いてあったような・・・。
もう一度見せて、問題を出します。
T:4本の棒で正方形を1つできます。
私が持っている紙に書かれている棒は、何本でしょう。
たぶん、当たらないと思いますけど・・・。
さっそく数え始めた子ども達。
人差し指で1,2,3,4と空書きのようにやり出しましたが、
5秒ほどで伏せてしまいます。
C:えー、早すぎる。数えられなかったー。
C:わかった! 16本です。
C:15本じゃないの?
そこで投げかけます。
いま、棒の本数をどのように数えましたか?
即座に手が挙がりました。
説明する
今、手を挙げている人達。どうぞ。
みんなの前で、
どのように本数を数えたか、実際にやってもらいました。
1、2、3、4と言いながら指示棒でマスをなぞるよう指示します。
子ども達は誰からやるかじゃんけんを始めました。
なかなか自治的です。
トップバッターの子どもは、横棒の数の次に縦棒を数える仕方でした。
1から16までの16本です。
2番目は、
上と下の棒の数が同じで5本ずつ、縦は6本。合わせて16本と数えました。
なるほど、なるほど。
出番を待っていた子どもは、言われてしまったようです。
「同じです」と言って席に戻っていきました。
16本のようですね。それ以外の数え方はありますか?
タケノコのようにあちこちから手が挙がりました。
順番に指して、同じように黒板でやってもらいます。
すると、このような説明がありました。
棒2本でL字の形にすると5つあるでしょ。残りをたして16本です。
ぼくは、コの字にして数えて16本になりました。
まだ手が挙がっていますが、一旦下ろさせます。
その数え方を、式に表せますか?
すでに発表されたものでもOK。
3つ書けたら見せに来るように指示しました。
でも、ちょっと待った。式を書く前にすること。
まずノートに日付と本日のタイトル。それから図を写すこと。
私もそれを黒板に書きます。
ほどなく数人がノートを持ってやってきました。
式を説明する
式の1つを短冊黒板に書いてもらいました。
それが次々に貼られていき、黒板がごちゃごちゃしています。
そのままでは見にくいので、短冊を動かして整理をします。
重複を避けたつもりでしたが、同じものがありました。
それらをグループにして固めます。
5×2+6=16
まずは、これから行こう。 この式、読めますか?
式の意味を問いました。
列指名します。
この女の子は、説明の最後に「合ってますか?」と聞いていました。
確認しているところがいいですね、とほめます。
同じように残りの式について「読んで」いきます。
式に出てくる数字は図のどこのことか?
指しながら説明をさせていきます。
出てきた式が10通り近くありました。
〔1+1+・・・+1=16〕というのもありました。
最初に発言した子どもの数え方です。
一目で分かるものはさらりと触れて進めましたが、
その一つひとつの説明を聞くのは、ちょっと怠(だる)かったかもしれません。
転
授業を「起承転結」という言葉に当てはめれば、「転」とする時になりました。
仕掛けをしておいたのです。
その出番。
これらの式に共通するのは・・・? そう、答えの本数ですね。
この紙に書かれている棒の本数は、その16本で「当たり」でしょうか?
じゃ~ん。
と言って画用紙の折った部分を開きます。
あれ~、正方形のマスは7こ書かれていたのでした。
じゃあ、棒は何本でしょう?
うわー、やられた。
だまされた!
非難の嵐の中、にこにこして投げかけます。
もう、この式は使えませんね。
新しく考えなくてはダメなのでしょうかねぇ。
C:・・・いや。使えます。
C:そうそう、ちょっと変えればいいんだよ。
えっ、どうこうこと?
活用する
5のところを 7にすればいいんだよ。
みんなポカンとしています。
今、Aさんが言ったことが分かった人、いますか? と尋ねても反応なし。
先生も同感。
ちょっと、何をいってるのか分かんないなぁ(と演技しつつ)、前に出て来てもらいます。
5本のところは、7本になったでしょ。
だから、この式はこうなるよ。 つまり22本です。
大いにほめます。
じゃぁ、他の式も5を7に変えれば22になるんだね?
みなさん、それでいいですか?
横の棒は7本が2列で7×2でいいけど、
縦の棒は8本になっているから+8にしないとダメです。
よく気が付きましたね。他のも確かめてごらん。
時間は1分です。
5マスから7マスに変えたときの式を言ってもらいます。
とりあえず、この4つを取り上げます。
T:どの式が便利そうですか?
C:3×7+1の式です。
C:マスの数だけ変えればいい。
同じように投げかけます。
T:どの式が便利そうですか?
C:7×3+1です。
C:それは、計算としては
3×7+1と同じです。
3×7+1の式は、マスの数だけ数えればいいので簡単ですね。
ということは・・・マスが9こだったら?
C:3×9+1で本数が分かります。
C:28本になります。
C:マスが10こだったら本数は、31本になるよ。
まとめ、そして発展
本数の変わり方を整理してみましょう。
どのようにするといいですか?
しーん、としているので主導していきます。
マスが1つ増えると、
棒の数はいくつ増えますか?
C:3つです。
C:コの字が1つ増えるから3本です。
マスが8こなら・・・そう3本増えて25本になるね。
では問題。
マスが□こだったら、どういう式になると思う?
3×5+1の式の5を7や9に変えたように、
そこを□にすればいいです。
今のBさんの発言が見えましたか?
見えた人は、ノートに書いてごらん。
[3×□+1]です。
変わる数は、□。
3と1は変わりません。
この画用紙の短冊には、正方形のマスが7つ書いてあって、
棒の本数は、22でした。誰も、当たりませんでしたね。
ところで、マスが100書いてあったら・・・棒の数はいくつでしょうね。
即座に「301。」と返ってきました。
これで終わりません。
もう一つ短冊を用意していました。
三角が横に並んでいます。
みなさんは、もうすぐに式がつくれますね?
書けた人は見せに来てください。
この授業の感想を言ってもらいたかったのですが、時間がきました。
実際に行ったことを元にシナリオにしました。
その大元となっている授業があって、さる付属小学校の公開研究会でなされたものです。
追試してみたのです。
私のオリジナルでないことをお断りしておきます。
そして、授業者やパネルに登壇くださった方々に対して、多くの学びをいただいたことに感謝申し上げます。