身近な出来事から始めた授業について紹介します。
小話と言えば、
落語の「枕」と言われる部分のこと。
その話は独立してあるのではなく、関係性をもって本題へとつながっていきます。
それを授業でできないか、と思いました。
その対象は、卒業を間近にした6年生です。私からのメッセージとして語りたかったわけです。
6年生にしてみれば、
身近な世間話から始まったのに、いつのまにか今日の学習になっている、そんな授業にしてみました。
小話「2着目が半額のお店」
商店街で見かけた張り紙の話です。
学区にある洋品店で、子ども達も知っています。
「2着目を半額にします」という張り紙がありました。
これは、お得な情報ですよ。
子ども達きょとんとしています。
いきなり授業とは関係のない話が始まったものですから、当然の反応です。
具体的に話していきます。
どのくらいお得かというと・・・
2000円のシャツを買うとします。
2着目は半額、というのですから、色違いなら1000円になります。
つまり、
合計4000円になるところ、代金は3000円でいいというわけ。
計算すると25%OFFです。
だったら、もっとお得な買い方ができちゃいますよ、
と言ってこう続けました。
もっとお得に買える?
1つ目に2000円のを買います。
2着目を1万円の高級品にすると半額の5000円で買えちゃいます。
合計は12000円ですが、
代金は7000円になって、これは58%OFFで買えたことになります。
ここで、立ち止まります。
あれ、って思いませんか?
58%ということは、6割引きです。そんなことをするお店はありません。
こんな売り方をして大丈夫でしょうか。
と言いつつ黒板に〔 知る → 考える → 行動する〕と書きます。
みなさん!
情報を得たら、まず考えてみることが大切です。
それから行動するのです。
先生は何が言いたいのだろう、
子ども達の何人かはそういいたげな顔をしています。
ここから本時の授業へとつなげていきます。
授業につなげる
子ども達は、卒業を間近に控えた6年生です。
ここは、私からのメッセージとして「語る」場面です。
皆さんは、多くの知識を得、様々な情報に接しています。
その中に「これは!」と感じるものがあったら考えて、
自分にできそうなことであれば行動していくといいと思います。
何のことか分かりますか? 環境問題です。
T:環境問題は、待ったなしなのです。すぐにも行動することが求められています。
残り10年を切っているのです。
「残り10年を切っている」とはどういうことか、あるシンボルマークをスクリーンに映します。
「SDGsカラーホイール」です。
「人と環境」の授業 冒頭
T:見たことがありますか?
SDG’s のマークです。
スーツの襟に付けている人をみたことがあります。
まとめに入ります。
T:SDGs は、2030年までに達成するよう世界で取り組む課題のことです。
地球の温暖化、水質汚染、森林破壊などの問題が17挙げられています。 WWFジャパン
T:これから「人と環境」という単元で学んでいきますが、知ったら考えること。
考えたら行動につなげていくこと。これがとても大切です。いいですか、
知ったら考える。考えたら行動するのです。自分のできることをね。
落ちをつける
ここで半額のお店の話に戻します。いわば「落ち」になります。
T:半額になることを知り、お得な買い物の仕方を考えました。
で、どんな行動になったかというと・・・お店に行きました。
C:買いに行ったんですか?
T:張り紙をもう一度、見に行ったんです。6割引きはちょっとありえませんからね。
そうしたら、下の方に小さい字で書いてありました。
【ただし、2着目は1着目と同額か、越えないものとします】だって。
お店は損をしないように、ちゃんと考えて張り紙を出していたんですね。
ホントは要らないのに割引に目がくらんで、高い物に手を出してしまうところでした。
やれやれ。
子どもの反応
ある子どもが書いてくれた感想です。
私は、理科の授業で好きなことがあります。
それは、先生が授業の前にする話です。
一見 面白くて笑っちゃう話だけど、
そろそろ話が終わる、と思った瞬間、先生は、その話を授業につなげてきます。
なので、私は、授業前の雑談が好きなんです。(H.Y.)
小話(雑談)から授業が始まる。
世間話と思って聞いていると、いつの間にか授業の中身に入っている。
子ども達はそんな小話から始まる授業を望んでいるようです。
こんな小話もあります こちら